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2013年3月
APPからGSEPへ—協力的セクター別アプローチの世界展開
2010年7月のクリーンエネルギー大臣会合において、「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(APP)を発展的に解散し、日米が共同提案したエネルギー効率向上に関する新たな国際枠組として「エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ」(GSEP)の 設立が決定された。環太平洋7か国から世界全体での官民連携へと枠組が拡大されたといえるが、6つのワーキンググループのうち、日本では「鉄鋼」「セメン ト」「電力」の3つについて活動を継続、拡大していく予定である。新たな枠組みの全体像と日本における3つのタスクフォースについて報告する。(「環境管理」2012年6月号より)
エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ(GSEP)の目的と概要
河野 孝史(経済産業省 地球環境対策室国際交渉担当補佐)
産業部門の省エネ・環境対応を促進する国際イニシアティブとして,日米政府の主導の下,APPからその成果を受け継ぎ2010年にGSEP(Global Superior Energy Performance Partnership)(セクター別ワーキンググループ(WG))は正式発足した。2011年度には2回 の会合を開催し,さらなる参加国拡大や取組の具体化等の課題は指摘されたものの,多くの参加者を得,その活動の進展に対する期待が共有された。今後,我が 国が主導するボトムアップアプローチを体現する組織として,官民協力という特徴を活かしつつ,気候変動交渉への効果的なインプットも含め,その活動の発展 が期待されている。
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GSEP鉄鋼WGについて
岡崎 照夫(一般社団法人 日本鉄鋼連盟 国際環境戦略委員会 委員長)
手塚 宏之(一般社団法人 日本鉄鋼連盟 国際環境戦略委員会 幹事)
中野 直和(一般社団法人 日本鉄鋼連盟 国際環境戦略委員会 幹事)
寺島 清孝(一般社団法人 日本鉄鋼連盟 国際環境戦略委員会 事務局)
中国・インドなどの成長により中長期的にも世界の粗鋼生産が拡大基調で推移していくことが見込まれているなか、鉄鋼業はエネルギーを多く使うことから、日本の優れた省エネ・環境技術の世界中の製鉄所への移転は、地球規模で見た際の持続可能な社会形成に不可欠である。日本鉄鋼業界は、省エネ・環境技術普及のための協力的セクトラルアプローチを推し進めており、とりわけ技術に基づくボトムアップ型の官民連携アプローチであるGSEP (エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ)鉄鋼WG(ワーキンググループ)はその中核をなす取組である。本稿では、鉄鋼業界が取組む協力的セクトラルアプローチをStepごとに分けて解説し、官民連携の意義、APP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ) 鉄鋼Task Force(特別作業班)からGSEP 鉄鋼WGへの移行した経緯、GSEP鉄鋼 WGの概要を紹介していく。
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セメント産業におけるセクター別アプローチとGSEPの取り組み
和泉 良人(社団法人 セメント協会)
官民が連携した国際的なセクター別アプローチは、2006年に開始された「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)」が代表的な事例であり、その後「エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ(GSEP)」 に引き継がれた。GSEPのセメント部会は、APP7カ国に加えて、欧州、ブラジル、南アフリカのセメント協会や欧州セメント研究機関(ECRA)などが 参加を希望しており、これまでAPPで行なってきた既存技術の普及・促進や新技術の開発、人材育成プロジェクト に加え、測定・報告・検証(MRV)方法論 や資金支援メカニズムなどの政策的な議論をする場になることを期待したい。
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電力セクターにおけるAPP活動の実績とGSEPへの取り組み
前田 一郎(電気事業連合会)
電力セクターはAPP(ク リーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ)活動の中で、火力発電所運転保守管理のピアレビューを「発送電タスクフォース」の主要なアクショ ンプランと位置づけて推進してきた。ところが米国は政権が民主党に代わったことからAPP活動の終了が提案されたが、APP活動が重要であると考える日本 他の関係者は、新たに成立したGSEP(エ ネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ)のワーキンググループにAPPの活動と経験を引き継がせることとした。GSEPの元で日本が議長となり、 パワーワーキンググループが今年立ち上った。GSEPにおいては関係国を拡大すること、官民パートナーシップの中、民の資源を一層活用する必要から電力の 民間の国際的イニシアティブである「国際電力パートナーシップ」が関わることとした。
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これからの環境経営(「環境管理」2013年1月号より)
グリーンキャピタリズムとこれからの環境経営―新しい経済モデルをどう実現させるか
細田 衛士(慶応大学 経済学部教授)/聞き手:黒岩 進(一般社団法人 産業環境管理協会)
「環境にやさしい企業」を目指し、その活動を社会へアピールしていくことが「環境経営」であり、その効率、効果、貢 献という点で日本の企業は世界でもトップレベルにあるといえる。反面、その活動が企業の「儲け」につながるようなビジネスモデルはまだ少なく、世界の動き に大きく遅れをとっている。
ビジネスと環境を両立させる「グリーンキャピタリズム」が今後どれくらい進化し、世界に先駆ける「ジャパンモデル」を実現していくか。環境経営のこれからの展望について慶應大学の細田衛士教授に聞いた。
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環境汚染と賠償責任(「環境管理」2012年11月号より)
役員が個人として負担する責任
大岡 健三(一般社団法人 産業環境管理協会)
環境汚染などで自社や第三者に損害が生じた場合に、会社役員が株主等から損害賠償請求を受けることがある。そのため役員は、①善管注意義務、②忠実義務、③ 監視・監督義務などに違反しないように十分留意する必要がある。法令遵守はもちろんのこと、公害防止管理者等の継続的教育含め、その役割の見直しなど万全 の体制を構築する必要があるかもしれない。小論では会社役員の個人責任について基礎的事項を分わかりやすく解説する。多重代表訴訟制度や会社役員保険、環 境保険についても簡単に報告する。
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環境汚染をめぐる役員責任−石原産業事件を中心に
手塚 裕之(西村あさひ法律事務所 弁護士)
藤田 美樹(西村あさひ法律事務所 弁護士)
環境汚染を担当する取締役としては、従業員等の報告において疑わしい点がないかを検証しつつ、当時の知見として合理的な方法で、環境汚染の防止のための情報収 集・調査・検討等をする必要がある。但し、環境汚染の分野においては、要求される知見水準が刻々と向上しているものであるから、現在採用されているやり方 で問題ないかについて、適宜の見直しも重要となる。
環境汚染を担当分掌しない取締役であっても、取締役会での報告等で情報を得た範囲では、真摯に検討し対応する必要がある。そのため、少し問題 がありそうだとは思うものの、よくわからない分野であるから、担当取締役に任せておけば良いとの判断は極めて危険であり、株主代表訴訟を提訴され巨額の賠 償責任を負わされる根拠となり得る点を認識すべきであろう。
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