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2018年5月
特集 DOWAエコシステムの環境経営
「鉱山」から「都市鉱山へ」
ー金属を「分ける」技術と廃棄物のリスクマネジメント
DOWAグループ発祥の地、秋田県・小坂鉱山で採掘されていた「黒鉱」は、金・銀などの有価金属を豊富に含む一方、鉛などの不純物も多く、処理が困難な鉱石だった。同社はそれを処理するために独自の製錬プロセスを開発し、国内有数の銅製錬所としての地位を確立した。この鉱山・製錬事業を通じて培った様々なインフラや技術がDOWAグループの原点となり、環境ビジネスのリーディングカンパニーに発展する礎となった。
本稿では、同グループの「循環型事業」の入り口であるリサイクル原料の調達と廃棄物のリスクマネジメントを手掛け、また国内にとどまらずアジアNo.1の環境・リサイクル企業を目指すDOWAエコシステム(株)の戦略について、同社代表取締役社長 飛田 実氏に話を聞いた。
【環境管理|2018年5月号|Vol.54 No.5 より】
(取材・文:本誌編集部/写真・図提供:DOWA エコシステム株式会社)
||| 目 次 ||| |
「有用」な資源を取りだし、「有害」なものを無害化する技術が原点
1884(明治17)年、DOWAグループの前身である同和鉱業(株)(現DOWAホールディングス(株))は、秋田県の小坂鉱山で鉱山・製錬会社として創業した。小坂鉱山は当時日本一の銀山だったが、操業後十数年で銀鉱石が枯渇し、また金本位制により銀の価格が暴落したこと等によって経営危機に陥った。そこで新たに取り組んだのが、「黒鉱」と呼ばれる複雑硫化鉱の製錬技術開発だった。
黒鉱は、金、銀、銅、鉛、亜鉛、そのほかレアメタルなど多くの有用金属を豊富に含有しているものの、不純物も多く含んでいるために分離が難しく、製錬がきわめて困難な鉱物だった。それを当時の技術者が「黒鉱乾式製錬法(自溶製錬)」と呼ばれる独自の製錬法を開発し、国内有数の銅製錬所として歩み始めたのである。「我々は長年、『有用性』と『有害性』を併せ持つ、様々な非鉄金属元素を取り扱ってきました。その経験から、有用な資源を取り出す技術や有害物を無害化して安定的に管理する技術を確立しました。その過程で、環境影響に配慮することの重要さを深く学んできたのです」( 飛田社長、以下同)
その後もこの製錬技術は研究や改善が進められ、DOWAグループの金属リサイクル技術へと受け継がれていった。このような技術やインフラ、経験、ノウハウを活かしてDOWAグループは1970年代に廃棄物処理等の環境事業を手がけ始めた。その後、変動為替相場制への移行やオイルショック、さらには1985年のプラザ合意を契機に急激な円高が進み、国内鉱山の経営は成り立たなくなった。非鉄金属業界では国内鉱山が次々と閉山される事態になり、1990年には小坂鉱山も閉山となった。
「当時は私自身が鉱山技師だったので、採掘していた山を閉山して新たに環境・リサイクル事業に取り組め、という辞令を受けたのが忘れられません」
(『「鉱山」から「都市鉱山」へーー世界中のスクラップから金属回収』 へ続く〔続きはPDFファイルにて、ご覧ください。〕)
【環境管理|2018年5月号|Vol.54 No.5】
下記よりPDFファイルをダウンロードのうえ、ご覧ください。
(本インタビュー全編ご覧いただけます。)
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