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特別対談・インタビュー 2018年8月環境最新情報
産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事にきく
循環経済先進国を目指してーー廃棄物処理法の変遷と循環型社会の未来
1990年に発覚した豊島事件は、処理費用負担への排出事業者の責任感の欠如、適正なコストを反映しない違法な処理、無許可操業の横行など、産業廃棄物処理における構造的な問題を明らかにし、その後の廃棄物処理法の抜本的な見直しへとつながった。その後、わが国では、廃棄物の適正処理、減量化、リサイクルなど、循環型社会への道を着々と歩んでいる。本記事では、廃棄物処理法の改正、各リサイクル法の制定等、循環型社会形成のための法体系の制度設計に深く関わった産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事 由田秀人氏に、産廃業界の変遷と現状、我が国が描くべく循環型社会、循環経済の姿について語っていただいた。
【環境管理|2018年8月号|Vol.54 No.8 より】
語り手:産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事 由田 秀人氏
聞き手:産業環境管理協会 専務理事 黒岩 進氏
||| 目 次 ||| |
平成に始まり平成に終わる豊島事件の衝撃と産廃業界
黒岩:産業廃棄物処理事業振興財団(以下、「産廃振興財団」)は昨年12月に創立25周年を迎えられました。
由田:私は厚生省と環境省時代を含めた過去25年間、なんらかの形で当財団に関わらせていただいております。その中でも、平成に始まり平成に終わる、あるいは終わらせなくてはいけない事件が豊島の不法投棄事件です。平成2(1990)年に香川県の豊島で兵庫県警が豊島総合観光開発を摘発してから、香川県を中心に香川県民、豊島住民会議、学識経験者の皆様方がこの問題に取り組まれ、当財団も産廃特措法に基づく支援を行っています。
その事件がきっかけとなって、平成3(1991)年には廃棄物処理法が20年ぶりに抜本的に改正されました。特に最終処分場等への公共関与、処理業者の育成等、廃棄物処理事業の振興のため、平成4(1992)年には産業廃棄物特定施設整備法が制定され、それを受け同年、産廃振興財団が設立されました。 当時、最終処分場等の処理施設不足の解決のため、都道府県の廃棄物処理施設の整備を図る「廃棄物処理センター」方式を導入したのですが、その支援が事業の柱の一つです。また、優良な民間の処理業者を応援していこうというのが二つ目の柱です。処理業者への債務保証事業、助成事業、振興事業を実施しています。
平成9(1997)年には、容器包装リサイクル法に続いて大幅な廃棄物処理法の改正を行うことになりました。不法投棄等に対する罰則の大幅な強化を行いましたが、不法投棄の現場に直ちに措置命令をかけ、場合によっては都道府県が代執行し、原状回復を図らなければならない。その場合に国やその他産業界からの支援が必要であろうということで、平成10(1998)年から当財団が適正処理推進センターとして指定を受けることになりました。
以上、産業廃棄物特定施設整備法に基づく指定と、廃棄物処理法に基づく適正処理推進センターの指定という二つの指定の法人として、現在に至るまで産業廃棄物処理事業の振興という役回りを果たさせてもらっています。
黒岩:その間、どのような変化を感じられましたか?
由田:公共関与というよりむしろ排出事業者責任の強化や各種リサイクル法の制定・改正によって、産業廃棄物処理業界のレベル全体が底上げされ、処理業者が非常に優良になってきたことが大きな変化だと思い ます。処理業者は家業的な経営が多く、ノウハウが継承されない問題があります。そこで次世代の経営を担う人材を育成するべく、平成16(2004)年より毎年、全国各地から経営者層を集めて産業廃棄物処理業経営塾を開催しています。先日も第15期の開講式があり、新しい塾生が48 名入りました。この経営塾にはOB会もあり、施設見学会や地域別ワークショップ、経営者による講演など、卒塾生間の期を越えたネットワークもできています。かつて豊島事件が起った頃にはとても考えられ ないような高いレベルの若手経営者が業界を引っ張っている。当財団設立から25年で一番大きく変わったのはここではないかと考えています。
(『排出事業者責任の徹底強化ーー産業廃棄物処理の「構造改革」』 へ続く〔続きはPDFファイルにて、ご覧ください。〕)
【環境管理|2018年8月号|Vol.54 No.8】
下記よりPDFファイルをダウンロードのうえ、ご覧ください。
(本インタビュー全編ご覧いただけます。)
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