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- 2022年3月
2022年3月
『環境最新情報』 とは
当協会機関誌「環境管理」から、環境に関する技術情報など広くお知らせしたい記事を掲載します。
どなたでも閲覧可能です。
- 2022/3 東京理科大学理工学部 出口 浩 教授にきく ー活性汚泥の先端研究を語る―酸素消費速度と汚泥滞留時間
- 2020/7 CLOMA会長 澤田道隆氏にきく ―海洋プラスチック問題解決へのチャレンジとESG経営
- 2020/4 帝人にきく ―未来の社会を支える会社へ -次の100年に向けた帝人の「価値創造モデル」と環境ビジョン
- 2020/2 横浜市にきく ―SDGs未来都市・横浜の実現に向けて -ヨコハマSDGsデザインセンターの取り組み
- 2019/8 三菱電機にきく ―大気、大地、水を守り、心と技術で未来へつなぐ-世界を変える三菱電機の「キーテクノロジー」と環境ビジョン
- 2019/4 千葉商科大学 学長 原科幸彦氏にきく ―「商いの力」で社会を変える 「自然エネルギー100%大学」が目指す地域分散型のエネルギービジネス
- 2019/2 資源エネルギー庁 にきく ―なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?
- 2018/12 地球温暖化政策財団 ベニー・パイザー氏 にきく ―英国から考える、気候変動政策の今後
- 2018/8 産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事 にきく ―循環経済先進国を目指して 廃棄物処理法の変遷と循環型社会の未来
- 2018/5 DOWAエコシステムの環境経営 「鉱山」から「都市鉱山」へ ―金属を「分ける」技術と廃棄物のリスクマネジメント
- 2018/4 住友化学にきく マラリア撲滅とSDGsの達成に向けて ―社会課題を解決する住友化学の環境ソリューション
- 2018/3 日刊工業新聞編集員 松木 喬 氏にきく ―「脱炭素」から「地方創生」まで 2018年度の環境ビジネスと環境経営
- 2018/2 英国再生可能エネルギー財団 ジョン・コンスタブル氏 にきく ―イギリスのエネルギー政策と再生可能エネルギー問題
- 2018/1 新春特別インタビュー:慶應義塾大学 経済学部 教授 細田衛士氏にきく
- 2017/4 インタビュー:リコーの環境経営「再利用」から「再生」へ
- 2017/1 新春特別インタビュー:日本政策投資銀行 竹ケ原啓介氏にきく
- 2016/5 インタビュー:コカコーラ システムの水資源戦略 使った水を自然にかえす
- 2016/1 新春対談:東京大学 安井至 名誉教授にきく
- 2015/12 インタビュー:マツダの環境経営 環境技術で世界に挑む
- 2015/10 インタビュー:茨城大学学長 三村信男氏にきく
- 2015/5 インタビュー:栗田工業にきく 企業の水問題と処理技術の動向
- 2015/4 インタビュー:イオンの環境経営「地域貢献」で世界を拓く
- 2015/1 新春対談:産業技術総合研究所 中鉢良治 理事長にきく
- 2014/10 特別対談:淑徳大学 北野大 教授にきく
- 2014/1 インタビュー:國部克彦氏(神戸大学大学院 経営学研究科 教授)にきく
- 2013/10 特別対談:日立製作所 川村会長にきく
- 2013/4 特別対談:荒川詔四(ブリヂストン相談役・前会長)×冨澤龍一(産業環境管理協会 会長)
- 2013/4 トレンド(世界の動き・国内動向 等)APPからGSEPへ -協力的セクター別アプローチの世界展開(続編)
活性汚泥の先端研究を語る―酸素消費速度と汚泥滞留時間
東京理科大学理工学部土木工学科の出口浩(でぐちひろし)教授に、汚水の生物処理に関する興味深い話をお聞きした。合成洗剤の自然分解、活性汚泥のフロックに微細なガラスビーズで重しを付ける研究、酸素消費速度OURと汚泥滞留時間SRTの関係、さらに原水に最適なSRTを選択することでエアレーションに要する電力量を節約できることなど、どの話題も非常に興味深い内容であった。
【環境管理|2022年3月号|Vol.58 No.3 より】聞き手:本紙編集部
||| 目 次 ||| - 松阪高校化学部での研究
- 東京理科大学での研究
- ガラスビーズのフロック
- 実験や実測による研究の原点
- 酸素消費速度OURについて
- 生物膜による分解実験
- 活性汚泥の内生呼吸期への移行
- 流入原水とOURの関係
- 公害防止管理者の受験者へアドバイス
※太字部のみWEB掲載(全編は本ページ下部より、PDFファイルをダウンロードのうえご覧ください。) |
松阪高校化学部での研究
―先生の研究分野は環境工学とお聞きしますが、はじめに自己紹介をお願いします。
出口:実は現在の天皇陛下と同じ日に生まれました。1960 年のことです。生まれてまだ名前がない時に、風邪の治療をした小児科の先生が「名前はこれでいいじゃない」と浩宮さまの名前から「浩」と命名されました(笑)。出身は三重県松阪市で、地元の松阪高校を卒業しました。一浪して東京理科大学に入学し、大学院まで含めて 9 年在籍し博士号を取得しています。
―水質関連の研究は大学生になってからですか。
出口:高校時代からです。1 年生の終わり頃から2年生にかけて、合成洗剤ABS*1 が大きな問題になっていました。高校の化学部が学園祭で、「合成洗剤による水の汚染があり、魚の味蕾(みらい)が機能しにくくなり、餌以外のものを摂取した結果、その影響として魚の背骨が曲がるなどの奇形が生じている」と発表していました。ABSは自然界で分解しないという話も本当かな、と思いました。当時、松阪には下水道がなかったので、生活雑排水は河川経由で伊勢湾に流れ込んで、最後は湾全体が洗剤の泡で覆われるかも知れない、と考えて、化学部に入部しました。
―水質汚濁が大きな問題になった当時は、ABSの濃度はどの程度でしたか。
出口:部員として、川の河口近くから上流に向かって5、6カ所の採水点を設定して、ABSを測定しました。すると、河口付近で 5 ~ 6mg/LのABS濃度が検出されました。
―高校の化学部ではどのような研究をなさっていましたか。
出口:川の水が自然分解するかどうかの実験を工夫して設計しました。①川の水と想定したコイが棲息する池の水、ABSの親油基の影響を考慮して②蒸留水にミシン油を添加したもの、③蒸留水のみ、を比較対象としました。この①~③の 3 種類にABSの標準物質を添加して実験をしました。ABSは親油基と親水基があるので、油に吸着する性質があります。油にABSがくっついて水から消える現象も実験で検討しました。
―どのような結果でしたか。
出口:実験を1カ月継続したところ、①池の水からはABSが検出されなくなりました。②ミシン油添加の蒸留水と③蒸留水のみの実験では、ABSが水から除去されませんでした。この実験から、ABSは自然分解することが実証できたと考えています。部の顧問の先生が研究成果を発表しなさいと言うので、科学技術に関係する国の機関にレポートを提出したら表彰されました。このような研究や分析ばかりしていたので、受験勉強はほとんどせず、浪人することになりました。当時は、「二度とこんな研究はしない」と決意していました(笑)。
【環境管理|2022年3月号|Vol.58 No.3】
下記よりPDFファイルをダウンロードのうえ、ご覧ください。
(本インタビュー全編ご覧いただけます。)
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