環境管理バックナンバー 2008年 9月号

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2008年9月号 特集:洞爺湖からの提言

<特集>

特別対談 ポスト京都に向けて―わが国の役割
澤 昭裕 東京大学先端科学技術研究センター客員教授/経団連21世紀政策研究所主幹、新井直樹 帝人株式会社エグゼクティブアドバイザー
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 ポスト京都に向けたわが国の役割は何か―洞爺湖サミットを振り返り、合意事項への評価を加えながら日本が今後進むべき方向を論じる。アメリカや中国の問題、セクター別アプローチ、エネルギー問題などの話題を掘り下げ、地球温暖化問題の課題を明らかにしていく。

洞爺湖サミットを終えて―「全員参加」への大きな一歩
川村尚永 経済産業省地球環境対策室課長補佐、廣田大輔 経済産業省地球対策室係長
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 2008年7月7~9日、北海道洞爺湖においてG8主要国首脳会合(G8サミット)及びエネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合(MEM)が開催された。G8サミットでは、気候変動問題様々な国際的課題について広範に議論が行われ、気候変動問題について、長期目標、中期目標、セクター別アプローチの有用性などについて、先進国間での合意を得た。また、G8に加えて、中国、インド等の主要な途上国も参加したMEMでは、途上国も排出削減に対してある一定の貢献をすること等について合意がなされ、世界全体の排出削減に不可欠な「全員参加」型の公平で実効性のある2013年以降の枠組み構築に向けての大きな一歩となった。

G8環境大臣会合を終えて―神戸から洞爺湖へ
環境省G8環境大臣会合等準備室
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 5月24~26日に神戸でG8(主要8カ国及び欧州委員会)環境大臣会合が開催された。G8各国をはじめとする19の国の大臣及び政府高官と、八つの国際機関の代表等が参加し、「気候変動」「生物多様性」「3R」の三つの議題について議論を行った。気候変動では、「2050年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させる目標を洞爺湖サミットで合意することに強い意志を表明」されたほか、生物多様性では、生物多様性の持続的な利用などの呼びかけをまとめた「神戸・生物多様性のための行動の呼びかけ(Kobe Call for Action for Biodiversity)」、3Rでは3R関連政策の優先的実行及び資源生産性の向上などをまとめた「神戸3R行動計画(Kobe 3R Action Plan)」が合意されるなど、多くの成果を得た。

G8+中国、インド、韓国エネルギー大臣会合を終えて
資源エネルギー庁長官官房G8エネルギー大臣会合等対策業務室
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 2008年6月8日、青森においてG8、中国、インド、韓国エネルギー大臣会合が開催された。原油価格高騰を背景に石油市場と投資環境について議論が行われ、一致した行動をとっていくことの必要性が確認された。また、エネルギー安全保障、省エネルギーへの取り組み等も議論されるとともに、省エネ政策の有効性強化としてセクター別アプローチが有益と確認された

「北海道洞爺湖サミット記念 環境総合展2008」への参加
安井基晃 一般社団法人産業環境管理協会エコプロダクツ展チーム
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 6月19日(木)から21日(土)の3日間、北海道の札幌ドームで「北海道洞爺湖サミット記念・環境総合展2008」が開催された。(一社)産業環境管理協会が本展示会に参加した所感を振り返る。

<総説>

「アジア経済・環境共同体」構想
中村 智 経済産業省通商政策局経済連携課
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 「アジア経済・環境共同体」構想は本年5月に経済産業省、環境省及び関係府省が共同してとりまとめたものであり、政府の基本方針2008(平成20年6月27日閣議決定)にも盛り込まれている。同構想は、アジアにおいて経済成長や環境問題の克服に向けて協働することを基本思想としており、我が国経済が成熟化し、少子高齢化も進展する中、「アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長すること」を要とした成長戦略の核として実現させることが重要である。

クリーンアジア・イニシアティブ
清家弘司 環境省地球環境局環境協力室
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 「クリーンアジア・イニシアティブ(CAI:Clean Asia Initiative)」は、「アジア経済・環境共同体」構想の軸として、環境省が6月にその詳細をとりまとめて発表したものであり、政府の骨太の方針2008(平成20年6月27日 閣議決定)にも盛り込まれた。環境と共生しつつ経済発展を図るアジアモデルの持続可能な社会の構築を目指すものであり、政策目標として①低炭素型・低公害型社会の実現、②循環型社会の実現、③気候変動に適応し自然と共生する社会の実現を、横断的目標として④市場のグリーン化の促進等を掲げている。今後は、本年10月にベトナムで開催される第1回東アジア首脳会議(EAS)環境大臣会合等の場を活用し、これらの目標の具体化を図っていく予定である。

「エコプロダクツ国際展」の概要
宮川世津子 国際機関APO(アジア生産性機構)工業企画官
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 アジア太平洋地域の社会経済発展に寄与するため生産性向上に関する諸活動を行っている国際機関アジア生産性機構(APO:Asian Productivity Organization)は、加盟国であるマレーシア・タイ・シンガポールで、2004年以降エコプロダクツ国際展を開催してきた。本年ベトナムで実施した第4回展(「Eco-products International Fair 2008」)は約10万人の来場者の関心を集めるなど、その規模を拡大させている。現在、APOでは来年3月のフィリピンでの開催を目指して準備を進めている。

<シリーズ>

【エコイノベーション 6】環境規制がイノベーションを促進するか―ポーター仮説の検証
中村吉明 経済産業省環境指導室長
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 マイケル・ポーター教授が提唱したいわゆる「ポーター仮説」は、「適切に設計された環境規制は、費用低減・品質向上につながる技術革新を刺激し、その結果、国内企業は国際市場において競争上の優位を獲得し、他方で国内産業の生産性も向上する可能性がある」としている。本稿では、ポーター仮説が成立する典型的な例として、日本でしばしば引用されている日本版マスキー法の事例を取り上げて検証した。その結果一般論として、ポーター仮説が成り立つとは言い難いことがわかった。インプラントの改善は環境負荷低減にもコスト削減にも有用であるが、これを達成するためには環境規制が必要不可欠ではなく、企業の自主的取り組みでも十分対応可能である。したがって今後は、前年よりも排出物質を削減するインセンティブが働き、企業の自主的な削減努力を誘引するような化学物質排出移動量届出制度(PRTR)等の公表制度の活用が適切であると考えられる。

【環境法の新潮流 55】REACH規則施行後の動向―欧州の化学物質法と日本
増沢陽子 名古屋大学大学院環境学研究科准教授
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 2008年6月より、欧州新化学物質法・REACH規則の主要部分が施行されている。本稿は、REACH規則のうち旧制度から大きく変わった「既存化学物質の登録」「成形品中の化学物質管理」について、欧州化学物質庁(ECHA:European Chemicals Agency)が公表しているガイダンス文書に基づき、運用の方向性と課題を検討した。登録時のデータ共有に関しては、関係事業者の責任と自主性の強調とともに、費用分担の公平性への配慮が注目される。成形品中の化学物質情報の取り扱いについてはまだ解釈・運用が明らかでない部分がある。日本においても化学物質審査規制法(化審法)の見直しが進められており、公平・効率的な情報収集に向けた議論が必要である

【実践マテリアルフローコスト会計 36】粘着マット製品におけるMFCA―スミロン三重工場における事例紹介
阿藤崇浩 特定非営利活動法人資源リサイクルシステムセンターMFCA事業推進マネージャー
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 ㈱スミロン三重工場では工業用粘着マット製品の製造を行っている。同社では早くからISO9001、ISO14001の認証を取得し、環境問題への対応も高い意識を持って取り組んできた。今回、「平成19年度マテリアルフローコスト会計(MFCA)普及・開発調査事業」の導入実証事業に参加し、同社三重工場において製造している「粘着マット製品」においてMFCAを実施することにより、工程ロスのより正確な把握と、それらのロス低減による環境負荷とロスコスト低減のポイントを見つけることができた。また、改善すべき工程の明確化と改善策のシミュレーションを行うことで、今後のより一層の環境負荷低減・ロスコスト低減のための多くのヒントを得ることができた。

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