環境管理バックナンバー 2009年 10月号

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2009年10月号 特集:化審法改正/化管法見直しとその対応

<特集>

化審法改正及び化管法見直しのポイント
経済産業省製造産業局化学物質管理課
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 我が国の化学物質管理政策は,関連する政策領域の拡大や急激に変化する国際動向に直面し,より実効性のある,効率的かつ効果的な政策体系が求められる。化学物質管理政策におけるリスクベース管理の一層の促進,国際調和といった観点から,総合的な政策への転換の必要性が高まっている。本稿では,我が国の化学物質管理に係る政策体系,背景となる国内・国際動向についてふれつつ,化審法の改正と化管法の対象物質の見直しについて紹介し,今後の化学物質管理政策の方向性を示す。

国際的な化学品管理の動向―SAICMに向けた官民の取り組み
庄野文章 社団法人日本化学工業協会/REACHタスクフォース事務局長代理兼化学品管理部部長
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 化学物質の利用においてその適切な管理は,人類が社会生活を営み持続的な発展を遂げるうえで必須の課題であり,そのベネフィットを最大限に引き出し,可能な限りリスクを低減化していくことが基本的な考え方となる。2002年ヨハネスブルグで開催された持続可能な発展のための世界首脳会議(WSSD)では「透明性のある科学に基づくリスク評価手続きとリスク管理手続きを用い予防的アプローチを考慮して健康および環境への影響を最小限にする方法で化学物質を製造し使用することを2020年までに達成すること目指す」ことが合意された。これをもとにいまや国際的なレベルで官民をあげての取り組みが進められつつある。本稿ではこの内容を概説し今後,化学産業のみならず全産業にわたっての取り組みについて展望する。

住友化学の化学物質管理への取り組み―化審法・化管法対応を中心に
奈良恒雄 住友化学株式会社レスポンシブルケア室主席部員、木村雅晴 住友化学株式会社レスポンシブルケア室主席部員
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 国際的な流れを背景に,我が国の化学物質管理もリスクに基づく考え方に向けて大きく舵を切ろうとしている。我々事業者においても,化学物質固有のハザードだけでなく,数量や環境への放出量,用途や使用場面なども考慮したリスクに基づく化学物質管理が求められる。住友化学では従来から,リスクに基づく化学物質管理の推進を基本方針に掲げ,自社内に専門の安全性研究組織をもつなど,独自の体制作りを積極的に行ってきた。この大きなパラダイムシフトの時代に,住友化学はこれまでに培ってきたリソースを最大限に活用し,自主的な取り組みにより,変化をビジネスチャンスにつなげられるよう前向きに取り組んでゆく。

富士通グループにおける化学物質情報管理への取り組みについて
藤井正隆 富士通株式会社環境本部環境技術推進統括部長
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 富士通グループでは,製品の新規開発にあたって,グループ一体となったエコデザインを推進しており,製品のライフサイクル全体を通じた環境パフォーマンスの向上に努めている。1993年より富士通グループ独自の製品環境アセスメントを実施し,「省エネルギー」「3R設計」「含有化学物質」「包装」などの観点より環境配慮型製品の開発に取り組んでいる。その一方で地球温暖化,資源枯渇といったいわゆる環境問題は近年急速に顕在化しており,世界各国において省エネルギーや化学物質管理に関する法令の整備が進んでいる。日本では化審法と化管法の改正によって化学物質政策が見直されており,企業は独自の環境への取り組みを継続するだけでなく,的確な法令遵守の体制を構築する必要がある。当社ではインフォメーション・テクノロジー(IT)を活用することで,製品含有化学物質の管理や,事業所における化学物質排出量削減といった取り組みの効率化を図っている。

定量的構造活性相関((Q)SAR)手法の有害性評価への活用
赤堀有美 財団法人化学物質評価研究機構安全性評価技術研究所研究企画部研究企画課
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 (定量的)構造活性相関((Q)SAR)は,試験を実施することなく,化学物質の性質を知ることができる手法のひとつである。しかし,化学物質の有害性評価の分野においては,(Q)SARの方法論の評価や結果の妥当性評価等の解釈が明確でなかったため実用的な活用は不十分であった。近年,これらの課題に対する解決策として,経済協力開発機構(OECD)が(Q)SARモデルの検証原則及び(Q)SARによる予測の報告様式を公開した。本稿ではこれらの内容を解説し,(Q)SARによる予測結果の活用に必要なポイントを概説する。

<シリーズ>

【環境法の新潮流68】EUにおける大気質環境基準(PM2.5)について
大杉麻美 明海大学不動産学部教授
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  EU新大気質指令(2008)において,PM2.5の限界値・目標値が新たに設定された。PM2.5の環境基準は,あくまでも人の健康を保護するための基準として機能しており,構成国には,当該国の自然環境,科学技術的レベルを踏まえたうえ,構成国間での連携を図りつつ,独自のPM2.5の基準を設けることの柔軟性が見られる。わが国においてもPM2.5の管理基準が模索されているが,管理基準はあくまでも行政上の基準であり,目標を達成するためには,継続的な測定と住民の健康調査等,あるいは,国の環境基準以外の管理基準として,条例,住民協定の活用が望まれるところである。

【実践マテリアルフローコスト会計49】サプライチェーン省資源化連携促進事業に参加して
田脇康広 パナソニックエコシステムズ株式会社クオリティセンター環境グループマネージャー
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 資源生産性向上に対する国際的な関心が高まっている。この取組みは企業では当り前の合理化活動であり,常に経営の重要課題である。今回「サプライチェーン省資源化連携促進事業」に参加する機会を得た。診断員の熱心な指導を受けながらサプライヤーとオープンに意見交換した結果,予想をはるかに超える有形,無形の成果を得た。特に,省資源化の取組みを企業単独ではなくサプライチェーン全体を鳥瞰(ちょうかん)することで,多数の改善のネタ(宝の山)が眠っていることに気づいた意義は大きい。

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