環境管理バックナンバー 2011年 9月号

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2011年9月号 特集:日本の海洋資源と海洋環境保全

<特集>

日本の海洋エネルギー・鉱物資源開発
神門正雄 内閣官房総合海洋政策本部事務局内閣参事官
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 国際的な資源需要の増大等により,今後資源の安定供給の確保がこれまで以上に重要な課題となる中で,今後の安定的な供給源として期待されるメタンハイドレート,海底熱水鉱床,石油・天然ガス等の海洋エネルギー鉱物資源につき,その概要と,これまでの開発に向けた取り組み,また将来の適切な商業化に向けた法整備の状況につき解説する。

海洋基本法と新たな海洋立国の実現
市岡 卓 海洋政策研究財団政策研究グループ長
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 2007年の海洋基本法成立,2008年の海洋基本計画策定を受け,我が国では「新たな海洋立国の実現」に向けた動きが加速している。政府においては,総合海洋政策本部が設置され,関係省庁が一丸となって海洋政策を推進する体制が整い,その下で海洋の開発,利用,保全等にかかわる新たな法制整備,計画策定等が進展している。海洋が新たなエネルギー・鉱物資源の供給の場として注目される一方で,海洋環境や海洋の生物多様性の保全への要請が高まっており,海洋の持続可能な開発・利用に向け,海洋の総合的管理のための新たな制度構築が求められている。

大陸棚における資源開発を巡る国際法上の問題
岡松 暁子 法政大学人間環境学部准教授
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 1982年に採択された国連海洋法条約は,排他的経済水域を設定し,また大陸棚概念を拡大して,そこに沿岸国の天然資源に関する主権的権利を認めた。日中間では,東シナ海の天然資源を巡る権益が対立し,当該海域での境界画定が未解決のままであるが,中国は一方的に資源開発に着手するという事態に発展している。資源開発にあたっては,両国間の境界画定問題が重要な課題であることはいうまでもないが,現実的には,今後は,境界画定問題は暫定的に保留し,両国の共同開発についての交渉が進められることになるであろう。

鉄鋼スラグを活用した海の再生
中川雅夫 新日本製鐵株式会社スラグ・セメント事業推進部部長
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 製鉄工程で発生する鉄鋼スラグは,鉄分やシリカ分等のミネラル分を多く含むことや,水と反応として硬化する性質,硫化物やリン酸の発生を抑制することで富栄養化した底質を浄化する機能等,固有の特性を有している。そこで,これらの特性を活用して,磯焼けによって喪失された藻場の回復や,富栄養化海域の水質浄化による赤潮や青潮の発生抑制等,海域環境の再生に資する技術開発に取り組んでいる。本稿では,このような海の再生技術のうち,鉄鋼スラグ製品を用いた藻場・漁場再生の事例について紹介する。

海岸環境再生のための土砂管理プロジェクト―天竜川・遠州灘モデルの提案
青木伸一 豊橋技術科学大学建築・都市システム学系 教授
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 土砂管理とは,山から川を下って海に流れ出る土砂を広域で管理し,国土や環境基盤の保全を達成することである。近年,環境面や防災面で土砂に関する種々の問題が顕在化し,流域スケールでの総合的な土砂管理の必要性が叫ばれている。土砂問題の多くは,ここ半世紀の間に人為的に生じたものであるが,水問題に比べてその影響がわかりにくいことから対応が遅れているケースが多い。本小論では,海岸侵食の面から土砂管理における問題点を整理するとともに,天竜川および遠州灘における土砂管理を目的に実施した研究プロジェクトの成果を紹介する。

世界規模の漁業資源管理と日本の役割―ネレウス・海の未来プログラム(日本財団・ブリティッシュコロンビア大学)の取り組み
太田義孝 日本財団ネレウスプログラム Co-Director
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 日本人にとって魚は,その食文化の基盤であり,漁業は海洋と深く関わる沿岸域の伝統と生活の糧である。これは,水産業の復活が東北震災復興の要であることをとっても明らかである。しかし,近年,過剰漁業,海洋汚染を原因とした魚資源の急激な減少が漁業従事者また科学者から報告されており,世界的な環境問題としてその適切な管理が必要とされる。このような状況をふまえ,日本財団とブリティッシュコロンビア大学漁業センターは,世界的な魚資源問題の解決を目指し,分野横断的な視点による世界規模の漁業資源分析,人材育成,周知啓発を目的とした8年間の長期国際海洋プログラム「ネレウス・海の未来プログラム」を2011年9月より(準備期間は2010年より)を開始した。

<コラム>

【深海底資源調査航海日誌】ハワイの向こうにある日本の海
鶴崎克也 社団法人産業環境協会技術顧問
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 ハワイの向こうに北海道とほぼ同じ面積の日本の海がある。1987年12月,日本,フランス,ソ連,インドの企業体は,国連海洋法条約の下で先行投資者として認められ,探査のための鉱区が太平洋に登録されたのだ。日本はその海底に分布する鉱物資源を独占的に開発することができる。この鉱物資源はマンガン団塊と呼ばれ,人類最後の資源ともいわれている。マンガン団塊を資源として評価するには,音波,重力,地磁気などを利用する物理探査や海底鉱床の映像撮影などの詳細な調査を必要とする。このコラムはマンガン団塊の調査航海に参加した筆者による,調査の舞台裏を記した航海日誌である。

<シリーズ>

【新・環境法シリーズ1】改正アセス法と残された課題
柳 憲一郎 明治大学法科大学院教授
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 2010年に審議未了により,参議院で継続審議となっていた環境影響評価法改正案(閣法)は,2011年4月22日に衆議院本会議において「環境影響評価法の一部を改正する法律(平成23年法律第27号,以下,改正アセス法)」として可決・成立し,同月27日に公布された。そこで,本稿では,これまで国で検討されてきたアセス法の改正議論について,これまでのわが国及び諸外国の取組み論点を整理しながら,法改正の方向性を明らかにするとともに,改正アセス法の規定ぶりについて触れた。改正法はいくつかの点で新たな試みを導入しており,制度としても改善されたと評価しうるものである。ただし,改正法における戦略的環境アセスメント(Strategic Environmental Assessment:以下,SEA)は,環境基本法第20条の枠組みの中で,検討されたものであり,事業実施区域等の決定段階にある。環境基本法第19条に基づく,計画策定段階の上位段階における環境配慮の仕組みを導入するためには,各種計画策定システムの研究が不可欠であり,計画策定システムを統一化していくことが,計画ごとにSEA制度をあてはめるべき段階や組み込み段階を明確化できることになることを残された課題として指摘した。

【実践マテリアルフローコスト会計72】マテリアルフローコスト会計(ISO14051)の最新動向―ISO/TC207オスロ総会における活動
古川 芳邦 日東電工株式会社 サステナブル・マネジメント推進部長 ISO/TC207/WG8国際幹事,立川 博巳 プロファームジャパン株式会社代表取締役社長 ISO/TC207/WG8 日本代表エキスパート/国際幹事補佐
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 ISO/TC207年次総会が,本年6月下旬より7月初旬にかけ,ノルウェーのオスロで開催された。マテリアルフローコスト会計(MFCA)の国際規格(ISO14051)策定に携わる作業グループ(WG)8の日本からの参加者は,議長の國部克彦(神戸大学教授),中嶌道靖( 関西大学教授),古川(筆者),及び立川(筆者)の4名であった。総会はFDISの投票期間中に開催されたため,ワークショップを実施し,各国からの代表エキスパートによるMFCAの事例発表やISO14001におけるISO14051の有効活用方法等活発な議論が実施された。ISO14051は2011年中に国際規格化される予定であり,8月の投票を終え,規格発行に向けた最終作業が実施される予定である。

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