環境管理バックナンバー 2012年 5月号

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2012年5月号 特集:改正水質汚濁防止法と企業の対応

<特集>

改正水質汚濁防止法と地下水汚染の未然防止
柳田貴広 環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室室長補佐
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地下水汚染の未然防止対策を目的として平成23年6月に成立した水質汚濁防止法の一部を改正する法律において,対象施設の拡大,有害物質使用特定施設等に対する構造等に関する基準遵守義務等,有害物質使用特定施設等に対する定期点検の義務の創設などの規定が盛り込まれ,本年6月1日から施行される。また,構造等に関する基準や定期点検の方法等については,水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令に定められた。本稿では,法律等の改正の概要について解説する。

日本国内の地下水汚染状況の概要及び工場・事業場における地下水汚染の原因行為等の傾向
一般社団法人 産業環境管理協会
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 本年6月1日に水質汚濁防止法の一部を改正する法律(平成23年法律第71号)が施行され,水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)が改正される予定である。今回の法改正は,地下水汚染の未然防止を目的として,有害物質使用特定施設及び有害物質貯蔵指定施設に対して構造基準等の遵守義務及び定期点検の実施義務を導入するものである。本稿では,環境省が公表している地下水質の測定結果や法改正の原案となった中央環境審議会答申の参考資料をもとに,今回の法改正において導入される地下水汚染の未然防止措置の必要性について再確認を行うことを目的として,日本国内の地下水汚染の現状及び工場・事業場における地下水汚染の原因行為等の傾向について整理を行った。

地下水汚染未然防止に向けた企業の取り組みについて
巣山廣美 昭和シェル石油株式会社環境安全部
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 改正水質汚濁防止法の地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理は,有害物質の地下浸透防止を主目的につくられているが,石油などの危険物を扱う施設に対して消防法で行われている火災防止や漏洩防止の構造規制等が参考になるので,事例を交えながら要点を整理する。しかし,実際に事業者が行う措置の有効性については,事業者が判断して自治体に説明し納得してもらうより他に手立てはない。なお,今後事業者の方々から出てくると考えられるフォローアップの体制づくりへの要求や,消防法などと比べた被害の深刻度から導かれる必要性(投資効果)への疑問などは,存続する委員会等で徐々に解決して行くことになるのではないだろうか。

化学業界における地下水汚染未然防止に向けた取り組み
安藤研司 一般社団法人日本化学工業協会環境安全部部長
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 日本の地下水質は2010年度概況調査に拠れば調査井戸の6.9%が汚染されているが,原因者が一般社団法人日本化学工業協会会員である事例は無かった。会員は,従来から実施してきたレスポンシブル・ケア活動と,そのスチュワードシップの下に地下水汚染未然防止に取り組んでいる。

非鉄金属鉱業界における地下水汚染未然防止に向けた取り組み
山本幸雄 三菱マテリアル株式会社環境部門長日本鉱業協会水質専門委員会委員
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 山間部という特異な環境に立地されている鉱山施設は,鉱山保安法により鉱害防止に関する規制を受けているが,このような鉱山施設において,今般の水質汚濁防止法の改正に伴う地下水汚染の未然防止に係る構造等の規制に如何に取り組んでいくかは,今後の重要な課題となっている。本稿では,鉱山の施設と水質汚濁防止法との関係,鉱山における水処理について概説し,さらに某鉱山における地下水汚染の未然防止の取り組み動向について解説する。

中小企業における地下水汚染未然防止に向けた取り組み
及川 勝 全国中小企業団体中央会政策推進部長
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 デフレ経済が続く中,多くの中小企業の収益は悪化を続け,環境問題等に費やす資金的余力がなくなっている。そうしたときだからこそ,中小企業は持ち前の機動力と知恵を大いに発揮するため,新たに作成されたマニュアルや事例集を積極的に活用するとともに,同業種あるいは異業種間の中小企業の共同化・連携化等を通じて,資金的に負担の少ない,点検・日常管理を実施していくことは極めて重要な取り組みである。

地下水汚染未然防止に向けた大阪府の取り組み
大阪府 環境農林水産部環境管理室事業所指導課
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 大阪府では改正水質汚濁防止法を確実に施行するため,昨年11月に規制担当者で構成する推進チームを立ち上げ,情報の収集や有害物質を使用する事業所における貯蔵施設の設置状況・地下浸透防止措置の実態等の調査を行ってきた。府は,改正内容の周知が重要と考え,リーフレットや業界団体の機関紙等を活用するとともに,機会あるごとに説明会を行ってきた。今後,運用・解釈に関し市町村間で差異が生じないよう,関係機関と十分に調整を行っていくとともに,職員の技術力の向上を図るなど,法改正を契機に地下水汚染の未然防止にこれまで以上に積極的に取り組んでいく。

地下水汚染未然防止のための自主的取組事例について
経済産業省関東経済産業局環境・リサイクル課
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 関東経済産業局では中小企業等の工場・事業場の地下水汚染未然防止の取組みの促進を図るため,企業の先進的取組や地下浸透防止技術等を調査,分析した。その結果を「地下水汚染未然防止のための自主的取組事例集」として取りまとめた。自主的取組の主なものはFRP被覆や受け皿設置,地下配管の地上化等の対策,地下浸透防止技術等は液体漏えい検知センサ・システムなどであり,洗浄・めっき・クリーニング3業種の具体的な取組みを写真や図を用いて解説している。

地下水汚染を未然に防止するための企業のリスクマネジメント
広瀬彰一 株式会社イー・アール・エス環境部副部長
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 水質汚濁防止法改正によって有害物質使用特定施設等に対する構造基準等が導入される。この構造基準等への対応は企業にとって負担となる一方で,地下水汚染だけでなく土壌汚染の未然防止も図られることとなるものであることから,土壌・地下水汚染の対策に関係する各種の負担の軽減に繋がりうる。土壌・地下水汚染は,新規規制の対象とされている有害物質使用特定施設等以外の施設・設備においても発生しうるものであることから,法規制の枠にとらわれずに,ハード・ソフトの両面から地道に未然防止に取り組むことが重要である。本稿では,地下水汚染の未然防止の観点から,法改正に伴う新規規制に加えて企業において望まれるリスクマネジメントについて,ソフト面での対応を中心に述べる。

<シリーズ>

【環境法 法令違反から学ぶCSR経営2】エコ商品の説明責任
高久尚彦 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 福島第一原子力発電所の事故以降,東京電力は産業用電力の値上げを打ち出し,また,関西電力がすべての原子力発電所の稼働を停止している。そこで,今後産業界が必要とする電気は,ますます火力発電に依存する割合が増え,石油や天然ガスの高騰による電力料金の上昇も予想されるところである。このような状況において,CO2削減やエネルギー自給率向上などの観点から,風力・太陽光・地熱発電などの再生可能エネルギーの促進は急務であり,国・地方公共団体,研究機関及び企業には大量安定供給に向けた一層の努力が期待される。しかしながら,再生可能エネルギー事業はクリーンなイメージがある反面,不確定要素が少なくないため,安易な事業化は多大な損害を招くことになる。今回は風力発電をめぐる地方公共団体と研究機関の共同事業の失敗事例を解説する。

【天網恢々 廃棄物処理法許可不要制度2】「事業者による自ら処理」と「専ら4品目」
長岡文明 BUN環境課題研修事務所
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 廃棄物の伝道師BUN先生と仮想の総合商社の環境部門に所属するリサちゃんとの対話を通して廃棄物処理法を分かりやすく解説する。 第2回目は「事業者による自ら処理」と「専ら4品目」について話をする。

【実践マテリアルフローコスト会計80】省エネのMFCAー用役のエネルギーロスを見える化
下垣 彰 株式会社フューチャーマネジメント アンド イノベーションコンサルティング 日本MFCAフォーラム運営委員運営委員会幹事
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 水,圧縮空気,蒸気等の用役エネルギーを,マテリアルフローコスト会計(MFCA)でどのように扱うかについて,これまで具体的な方法の提案がなかった。測定の方法,エネルギー量の計算方法,改善の考え方等,実施する上で多くの課題があったためと思われる。今回,その方法の研究結果を報告する。

【現代再考3】神通川流域カドミウム汚染「偉大な汚染農地の復元」
本誌編集部
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 神通川流域のカドミウム汚染復元事業が33年という長い年月と事業費407億円をかけて平成24年3月に完了した。これは偉大な歴史的事業といえる。特に,本事業における汚染地の復元工法を工場跡地などの土壌汚染対策の参考にすべきという声もよく聞く。本論では冒頭においてカドミウム汚染の概要を述べ,後半部分で農用地土壌汚染対策の興味深い工法ポイントを分かりやすく報告する。

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