環境管理バックナンバー 2012年 12月号

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2012年12月号 特集 サプライチェーンにおける化学物質管理と環境リスク

<特集>

サプライチェーンを通じた化学物質管理と情報伝達
川上 哲司 パナソニック株式会社 モノづくり本部 環境・品質センター 化学物質ユニットリーダー
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 当社を含む電機電子業界は、EU RoHS指令(電気・電子機器の特定有害物質使用制限指令)やEU REACH規則(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則)といった化学物質規制の導入により、製品への有害物質含有禁止や有害懸念物質の含有情報伝達への対応が求められている。最終機器メーカが化学物質を用いて一から製品製造をしているわけではないので、サプライチェーンに対して製品含有物質管理の強化と情報伝達への協力を求め、取り組んでいる。サプライチェーンでの製品含有化学物質情報の伝達を円滑に進めるための当社の取り組みを説明するとともに、化学物質情報伝達にかかわる課題を提起する。

製品含有化学物質管理の標準作りとサプライチェーンにおける実践
菅谷 隆夫 みずほ情報総研株式会社 環境エネルギー第2部
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 自動車、電気電子機器、電池、包装材といった製品カテゴリごとの製品環境規制や、ライフサイクル管理の観点等から成形品(アーティクル)中の物質まで対象範囲とする化学物質規制など、拡大する製品含有化学物質規制への対応がものづくりにかかわる事業者の大きな課題となっている。
 それに対して、多くの事業者が、製品含有化学物質情報の入手・確認によって対応すべく、情報収集・授受の手段を整備している。しかし、多種の原材料や部品を国内外の多数のサプライヤから入手するような分業によるものづくりにおいては、その含有化学物質を把握するのは容易ではなく、含有化学物質情報には信頼性の問題もつきまとう。そのため、サプライチェーンにかかわる各事業者が製品含有化学物質を管理する「仕組み」をもつことが、規制対応の基礎として重要であることが認識され、標準作りが進められている。今夏には、製品含有化学物質管理に関する日本工業規格として、JIS Z 7201:2012 製品含有化学物質管理-原則及び指針が制定された。本稿では、製品含有化学物質管理に関する標準策定の経緯・動向、サプライチェーンにおける製品含有化学物質管理の実践について述べる。
廃棄物委託にかかわる化学物質の環境リスク
堀口 昌澄 株式会社 アミタ持続可能経済研究所 主席コンサルタント
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 廃棄物の処理については、不法投棄問題だけでなく先般の利根川水系におけるホルムアルデヒド騒動などの不適正処理が問題になることが多い。不法投棄は比較的ローカルな問題ととらえられるが、水が汚染されるとその影響の範囲は一気に広がる。今回のように、一般の河川がここまで汚染されるケースは極めてまれではあるが、その影響の大きさから日本人全員が知ることとなる事件となった。排出事業者としては、処理方法の選択と業者の選定、廃棄物の有害性の把握と処理業者との共有がこれまで以上に重要なテーマとなる。本稿では、化学物質を含む廃棄物の処理のリスクと、その対策についてまとめた。
川崎市における化学物質の環境リスク低減に関する取組―市域の環境リスク評価と化学物質取扱い事業所周辺の環境リスク評価
小林 勉 川崎市 環境局 環境対策部企画指導課 技術員
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 川崎市は、京浜工業地帯の中核に位置し、全国的にも化学物質の排出量の多い自治体の一つであり、国が実施している環境リスク評価では必ずしも市の実態に則した結果が得られていないことから、市の直近のPRTR排出量を用いるなど市の排出実態に則した方法で市域の環境リスク評価を実施し、公表している。また、事業所から排出された化学物質が周辺住民に与える有害な影響については事業者自らが自主管理の中で把握し、その結果に基づいた効率的かつ効果的な管理(リスク管理)を行うことが必要である。そのため、「事業所周辺の環境リスク評価を行うための手引き」を作成し、事業者へ提供することにより、事業者のリスク管理を促進している。

<総説>

科学と社会とのギャップ―リスコミがなぜすすまないか
西澤 真理子 リテラジャパン(株式会社リテラシー)代表取締役
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 科学技術が発展するにつれ、その社会での応用化、実用化には、安全性や倫理面での科学技術の専門家と一般とのギャップが顕著になってくる。その要因の一つには、二者間のコミュニケーションがうまく機能していないことが挙げられる。本論文では、リスクコミュニケーションがなぜ進まないかということを切り口に、この問題を分析する。そして人々が安心して生活するための信頼の確保にリスクコミュニケーションがどう活きるか。その改善についての提言を行っていく。

<シリーズ>

【新CFPプログラムの運用解説(3)】算定・宣言の実務―CFP登録・公開編
小粥 万友美 一般社団法人 産業環境管理協会 LCA事業推進センター エコデザイン事業室
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 製品やサービスのライフサイクルを通じて排出される温室効果ガス排出量を「見える化」する取り組みとして、近年、カーボンフットプリント(CFP: Carbon footprint of Products)が注目されている。国が実施したCFP制度試行事業の成果を引き継いで、2012年度より産業環境管理協会(以下、協会)ではカーボンフットプリントコミュニケーションプログラム(以下、CFPプログラム)を運営している。CFPプログラムでは、CFPを算定し、第三者による検証を受け合格した製品は、登録・公開申請を経て「CFP宣言」が行える。CFPマークを製品パッケージに表示するなどして消費者とのコミュニケーションを図るとともに、CFPプログラム公式ウェブサイト(以下、CFPウェブサイト)にて登録された製品の登録情報を公開し、CFPマークの補完的な情報を消費者に提供することができる。本稿では、読者としてCFP宣言の登録・公開を行おうとする事業者を想定し、実務上必要な手順等について解説する
【新・環境法シリーズ13】COP18(ドーハ)に向けた2013年以降の京都メカニズム・新メカニズムの課題
木村 ひとみ 大妻女子大学 助教
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 新メカニズムとは、京都議定書に基づく京都メカニズムに対する、2013年以降の将来枠組みにおける市場メカニズムを意味する。日本やロシアはCOP17(ダーバン)で京都議定書に基づく第2約束期間への不参加を表明したが、これらの国が2013年以降の新メカニズムに参加できるのか否かについても現時点では明確になっておらず、新メカニズムのあり方とともに2012年末のCOP18(ドーハ)で本格的な議論が開始される予定である。本稿では、CDMなどの従来の京都メカニズムの改革の議論とともに、セクトラル・クレデティング・メカニズム(SCM)など新メカニズムをめぐる近年の動向、交渉の論点、主要国の見解、COP18に向けた課題について検討する。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営8】有害物質による地下水汚染を生じさせた企業の責任
関根 良太 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 地下水は、我が国における貴重な淡水資源である一方、汚染物質の希釈が期待できないという特質から、いったん汚染されると自然の浄化作用による水質の改善、回復が困難であるとされ、汚染の未然防止が重要とされている。地下水の汚染に関しては、水質汚濁防止法が、平成元年、平成8年及び平成23年(本年6月施行)の改正により、地下水の水質汚染防止を目的規定に加えるとともに、地下浸透規制や、地下水浄化措置命令制度の導入、さらには有害物質使用特定施設等の構造基準遵守義務及び定期点検義務の創設等により、地下水汚染の未然防止を図るための制度を導入・拡充している。このように厳格化する行政規制に加え、企業としては、他者に損害を与えることとなった場合の民事責任についても留意する必要がある。本稿では、有害物質による地下水汚染を生じさせた企業の責任が問われた裁判例(福島地裁郡山支部平成14年4月18日)を検討することにより、地下水汚染に関し、CSRの観点から企業が留意すべき事項について考察する。
【天網恢々 廃棄物処理法許可不要制度8】下取り廃棄物編
長岡 文明 BUN環境課題研修事務所
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 廃棄物処理法の伝道師BUN先生と仮想の総合商社の環境部門に所属するリサちゃんとの対話を通して廃棄物処理法を分かりやすく解説する。
  第8回目は「下取り廃棄物」について話をする。
【先読み!環境法6】自動車NOx・PM法についての答申案
小幡 雅男 東京工科大学講師
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・自動車NOX・PM法についての自動車排出ガス総合対策小委員会の答申案
・低炭素建築物新築等計画に係る認定基準がまとまった都市低炭素化促進法
・10月1日から実施された地球温暖化対策のための石油石炭税の課税の特例
【実践マテリアルフローコスト会計86】MFCAの次なる国際標準に向けた議論の最新動向―ISO/TC 207バンコク総会の報告
立川 博巳 ISO/TC 207/WG8(MFCA)日本代表エキスパート 国際幹事補佐 プロファーム ジャパン株式会社
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 環境管理手法のひとつであるマテリアルフローコスト会計(MFCA)は、原材料投入量や製品産生量の把握を通じて、物質・エネルギーの使用状況の透明性を向上させる。MFCAは2011年9月にISO 14051として国際標準化されたが、その後も各国からの要望にもとづき、サプライチェーン規模での実施などを含めた次規格を国際標準として策定する可能性について検討が進められている。本稿では、2012年6月に開催されたタイ バンコク総会での議論の結果及び検討が進められている次規格の概要について報告する。
【環境法改正情報】(2012年10月改正分)
見目 善弘 見目エコ・サポート代表
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 消防法
 労働安全法
 農薬取締法
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