環境管理バックナンバー 2013年 9月号

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2013年9月号 特集 放射性物質による環境汚染の現状

<特集>

放射線の基礎と汚染形態について
泉田 龍男 公益財団法人原子力バックエンド推進センター物流システム事業準備室
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 東日本大震災の津波により生じた原子力発電所の事故により、福島県を中心に広範囲に放射能汚染が発生すると同時に、住民の放射線被ばくも通常より数倍に達する事態となった。放射線被ばくについては、過激なマスコミ報道やネットなどでの根拠のないデマが氾濫したが、これらの情報を適切に判断するためには基礎的な放射線の知識が必要である。
 本稿では、詳細な専門家向けの内容ではなく、放射線の発見や有効利用の歴史、健康への影響
の考え方などを解説した。
放射線がヒト及びヒト以外の生物に与える影響
川口 勇生 独立行政法人放射線医学総合研究所放射線防護研究センター規制科学研究プログラム
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 東京電力福島第一原子力発電所事故により、放射性物質が環境中に大量に放出され、深刻な環
境汚染を引き起こしている。放射性物質による環境汚染によって、放射線のヒトへの健康リスクに関心が集まったが、同時にヒト以外の野生生物への影響も懸念されている。
 本稿では、まずヒトの健康影響評価及びリスク評価について概説し、ヒト以外の生物への放射線影響及びリスク評価の枠組みについて解説を行う。最後に、東京電力福島第一原子力発電所事故によるヒト及びヒト以外の放射線リスク評価について、既報の文献をもとに概説する。
福島における放射性セシウムの環境動態研究
佐藤 治夫 独立行政法人日本原子力研究開発機構福島技術本部福島環境安全センター環境動態研究グループ
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 2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震により福島第一原子力発電所の事故が発生し、大量の放射性物質が原子炉外へ放出され、福島県を中心に森林や住宅地などを広範囲に汚染した。
 事故から2年以上が経過し、半減期の短いヨウ素131が消滅した今、放射性セシウム(放射性Cs)が線量率を支配している。2012年1月、除染にかかわる法律(放射性物質汚染特別措置法)が施行され、住民帰還に向けた除染活動が本格化する一方、全体の7割を占める森林内部は現状では除染の見込みがないため、汚染状況の高い河川やダム・溜池と同様に、放射性Csの供給源となり、汚染が下流域へ徐々に移動する可能性がある。住民帰還の判断や帰還後の地域産業の再生等、将来を考える上で放射性Csの移動・再分布にともなう被ばく線量の変化や森林等からの再汚染の評価は不可欠である。そこで、本報では、原子力機構が福島において実施している放射性Csを対象とした環境動態研究(F-TRACE)プロジェクトの概要と進捗状況について報告する。
福島第一原発事故に起因した環境放射能汚染に関する柏市の対策
染谷 誠一 千葉県柏市役所環境部放射線対策室室長
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 福島第一原子力発電所事故により、大気中へ放出された放射性物質は気流に乗って首都圏にも届き、降雨によって土壌等に沈着し、柏市を含む千葉県北西部地域の空間放射線量を上昇させた。
この地域の空間放射線量が比較的高い状況にあるとの情報が早い段階から流れ始め、その真偽並びに健康影響を心配する市民等から、市による線量測定及び対策の要望が一気に高まった。これらを受け、柏市を含む各自治体が除染等の対策を実施してきた。
 そこで本稿では、柏市のこれまでの対策を中心に紹介する。
放射能除染のための国際シンポジウム―第2回環境放射能除染研究会発表会 報告
鈴木 幹夫 いであ株式会社
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 昨年に引き続き環境放射能除染研究会発表会において、「放射能除染のための国際シンポジウム」が平成25年6月7日に環境放射能除染学会主催、環境省共催で行われた。今回は、国内の講演者4名、海外の講演者3名による計7講演が行われた。ここでは7講演のうち、海外の講演者による3題について、その内容を簡潔に紹介する。
放射性物質による事故事例と基本用語の解説
編集部
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 放射性物質による事故事例と基本用語の解説をする。

<報告>

JEMAIの環境測定標準化活動報告
大野 香代 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター国際協力・技術室室長
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 近年、新興国における公害の深刻化に伴い、環境技術(排水・排ガス処理システム等)の需要が増大している。我が国の優秀な環境技術を海外に売り込むビジネスチャンスを逃さないためにも、技術を国際標準とし、他国の低品質の製品との差別化を行うなどの事業戦略が求められている。環境計測はそれら環境技術の性能を担保するために必要不可欠なものであり、計測器、計測方法の測定精度や仕様が国際的に統一された基準で評価されたものであることが望ましい。一般社団法人産業環境管理協会(JEMAI)はISOにおけるTC 146(大気質)及びTC 147(水質)の各技術委員会の国内審議団体として環境計測の国際標準化活動を長年にわたり行っている。本稿では、現在実施している国際標準化調査研究3件について報告する。
ISO/TC 207国際標準化の動向について
胡桃沢 昭夫 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター国際協力・技術室主査/大野 香代 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター国際協力・技術室室長
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 持続可能な発展と、これを実現するためのシステムやツールの開発が強く求められる社会情勢の中、環境マネジメント関連の国際標準化作業への積極的な参加が重要視されている。本稿では、一般社団法人産業環境管理協会が国内審議団体を務める、環境ラベル、環境パフォーマンス評価、ライフサイクルアセスメント、温室効果ガスマネジメント及び関連活動等に係る標準化に関し、昨年度の事業成果及び本年6月下旬に行われた第20回ISO/TC 207(環境マネジメント)ボツワナ総会における国際標準化の最新の開発状況を紹介する。

<シリーズ>

【新・環境法シリーズ/第22回】グリーン経済推進のための法政策の展望
苦瀬 雅仁 環境省総合環境政策局分析官
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 リオ+20での議論を経た今日に至るまでの内外の議論及び我が国の法政策を踏まえて、今後の法政策を展望すると、
① 今日の環境問題への取り組みに必要な、幅広い経済活動に関する法政策進展の必要性が高まり、その際ⓐグリーン経済の動きに対応できなければ市場から排除されるリスクが一層大きくなること、及びⓑ他方でグリーン経済の動きへの適切な対応は、中期短期の当該事業者の事業拡大、経営改善の好機となる可能性が高まること、に一層の留意が必要となること、
②「グリーン」が社会的視点等を含む広い意味になっていくこと、
③多様な主体の多様な形の取り組みに対応したものとなること、
が予想される。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第17回】海洋汚染事故における損害賠償実務と企業の法的・社会的責任
高橋 大祐 真和総合法律事務所弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 海洋汚染事故は、海洋環境や沿岸域の人々の生活や経済活動に多大な被害を生じさせる。このように様々な被害者に莫大な損害を生じさせる海洋汚染事故において、企業の法的・社会的責任はどのように顕在化し、どのような形で損害の賠償が行われるのか。また、海洋汚染事故において顕在化した企業責任は、海洋汚染事故以外の様々な事故における企業の損害賠償実務や事故対応にどのような影響や示唆を与えているのか。本論文は、1997年に日本海において発生した重油流出事故であるナホトカ号事件と、2010年にメキシコ湾においてBPの石油掘削施設ディープウォーター・ホライズンが爆発し原油が流出したBP流油事故という二つの顕著な海洋汚染事故の解説を通じて、海洋汚染事故における損害賠償実務と企業の法的・社会的責任等について分析する。
 両事件を契機として、海洋汚染・水質汚染のリスクが高まっており、企業にはそのリスクの高さに応じた事故の予防・対処の必要性が生じていることを議論する。また、海洋汚染事故に限らずあらゆる事故に関して、企業は、従来の損害賠償制度の枠組みを超えた、環境回復や被害者救済に向けた自主的な取り組みや、事故の再発防止に向けた具体的な措置をとるなどのきめ細やかな対応を行う必要性に迫られていることも議論する。
【先読み! 環境法/第15回】水循環基本法案
小幡 雅男 神奈川大学大学院法務研究科/国際基督教大学教養学部講師
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国内の水資源の保全を目的とする「水循環基本法案」が廃案になった。健全な水循環の回復・維持に横たわる構造的な課題を考察する。
❶水循環基本法案
❷第2 回ストックホルム条約等3 条約拡大合同締約国会議の開催とその目指す方向
【実践マテリアルフローコスト会計95】中国における資源フローコスト会計の展開
賀 振華 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程前期課程/國部 克彦 神戸大学大学院経営学研究科 教授
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 MFCAは2007 年のISOによる国際標準化プロジェクトの開始以降、アジア諸国でも関心が高まり、資源生産性を高めるための様々な政策や手法の開発に影響を与えている。中国では循環経済を促進するための政策の中で、資源フローの効率化が目指されている。そのための手法として資源フローコスト会計が考案されているが、この手法にはMFCAの考え方が大きく影響しており、中国版MFCAと称してもよいものである。
 本稿では、資源フローコスト会計の理論的内容を紹介した上で、企業事例分析も検討し、
資源フローコスト会計の意義と今後の展開方向を検討する。
環境法改正情報(2013年7月改正分)
見目 善弘 エコ・サポート代表
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◉消防法
◉地球温暖化対策推進法
◉再生エネルギー特措法
◉化審法
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