環境管理バックナンバー 2015年 11月号

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2015年11月号 特集:化学物質管理 最新動向

<特集>

化学物質による事故と規制動向
本誌編集部
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 本年8月12日に中国で発生した天津大爆発は極めて衝撃的であった。他にも山東省、河南省、甘粛省、江蘇省など各地の化学工場で爆発や火災事故が勃発するな
ど、中国の危険物の管理態勢のずさんさが改めて問題視されている。日本でも労働安全衛生法が改正され、化学物質に対するリスクアセスメントが強化されている。世界各地の事故と規制動向を概観する。
改正労働安全衛生法の概要と化学物質のリスクアセスメントに向けた取り組み
遠藤 智道 一般社団法人 産業環境管理協会 国際化学物質管理支援センター/田嶋 晴彦 一般社団法人 産業環境管理協会 国際化学物質管理支援センター
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 胆管がん事案など最近の化学物質による労働災害の状況を踏まえ、労働災害を未然防止する仕組みを強化するため労働安全衛生法の一部改正があった。特に注目すべきは平成28年6月1日から化学物質を製造・流通もしくは使用するすべての事業者に化学物質のリスクアセスメントを義務付けたことだ。しかし多くの企業にとって化学物質のリスクアセスメントは未経験であり、改正法の完全履行には困難が予想される。そこで本稿では、第1章で指針等、厚生労働省の公開している文書を手掛かりに労働安全衛生法改正の概要と求められるリスクアセスメントの解説を行い、第2章で企業の担当者がリスクアセスメントを実施する際の手順や支援ツールについて解説する。
製造業における化学物質管理政策の 現状と今後の展開
経済産業省 製造産業局 化学物質管理課
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 化学物質管理の充実が国際的な要請となっており、経済産業省では、①安全確保を大前提としたサプライチェーンにおけるビジネスリスク、ビジネスコストの低減、②国際的な制度のハーモナイゼーションと知見の共有、を大きな柱とし、①については、サプライチェーンにおける製品に含有される化学物質の新たな情報伝達スキームchemSHERPA(ケムシェルパ)の構築、②については、化学物質管理制度の(特にアジアにおける)国際調和を目指し、日ASEANケミカルセーフティーデータベースの構築等を目指している。
神奈川県における化学物質の適正な管理に関する取組
神奈川県 環境農政局 環境部 大気水質課
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 化学物質は私たちの日常生活の利便性を高めているが、数万種類に上るといわれる化学物質の中には、大気、水などの環境中に排出され、人の健康や生態系に悪影響を及ぼす有害な物質も存在することが知られている。
 神奈川県では、化学物質によるこうした影響を防ぐため、生活環境の保全等に関する条例に基づき、事業者による自主的な排出抑制対策の推進や化学物質情報の提供などの取組を実施している。

<総説>

「環境経営」へのいざない
大森 潤平 経済産業省 関東経済産業局 総合エネルギー広報室
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 主にマクロ経済学的視点から環境にアプローチする「環境経済学」については研究分野としてのアイデンティティを確立して久しくなっている。一方で、近年、地球温暖化や環境汚染等、経済活動を含む人間の活動に起因する環境問題への対策が声高に叫ばれる中で、マクロ経済学的視点の環境経済学だけでなく、各個企業努力によって経営改善と環境対策を求められる社会的要請が強くなってきている。本稿では、「省エネルギー(省エネ)」、「環境マネジメントシステム(EMS)」、「マテリアルフローコスト会計(MFCA)」を中心に「環境経営」について紹介し、本稿で経営改善に関して新たな視点を提供できればと考えている。
pH 分析の基礎知識
本誌編集部
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 水のpHを測定すると様々な値が検出される。例えば、日本茶は4. 5~6. 0、水道水は6. 5程度の酸性、一般的な地下水は7. 0~8. 0、海水は河口以外で日本海も太平洋も8. 0~8. 5のアルカリ性である。水質の環境基準は一般的に河川が6. 0~8. 5、海域は7. 0~8. 3である。公共用水域の環境基準を達成するためには、工場・事業場に適用されるpH 排水基準等を遵守する法的義務がある。その際にpH値の精度は非常に重要となる。そこで株式会社堀場製作所による「pH・水質分析基礎セミナー」の講演及び同社の公開資料等をベースに、pH分析に関する基本情報とトレーサビリティに関する簡単な解説をまとめた。
水素イオン濃度(pH)違反と測定精度管理
本誌編集部
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 工場に起因する水素イオン濃度(pH)違反は珍しくなく、それは測定・分析精度の信頼性の問題も大きな要因となっている。本稿ではいくつかの違反事例を紹介するとともに、神奈川県で取り組んでいる精度管理に向けての具体的な手法とその成果についてレポートする。

<シリーズ>

【産業界が取り組む 地球温暖化問題8】省エネルギー技術の世界普及促進策としての二国間クレジット制度(JCM)── COP21 で期待されること
岡崎 照夫 日鉄住金総研株式会社 参与 環境エネルギー部長
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 日本鉄鋼連盟がインドやASEAN諸国との間でとりまとめた「技術カスタマイズドリスト」は、二国間クレジット制度( JCM)として導入可能な技術を中心に選定するなど「ポジティブリスト」の策定を意識して作成されている。この考え方で選定された技術の移管は中国やインドで成功を収め、この取組の水平展開が今後のJCMプロジェクトの鍵を握るといえる。本稿では、日本政府が気候変動交渉において提案しているJCMの基本概念、スキームについて解説し、JCM実現可能性調査(JCM-FS)に関する取組の詳細を紹介する。
【新・環境法シリーズ45】EU大気質指令の国内法化をめぐるEU法とイギリス国内法の関係 ─ EU司法裁判所先決裁定手続および差戻後のイギリス最高裁判決
兼平 裕子 愛媛大学 法文学部 教授
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 EU大気質指令(Directive 2008/50/EC)は、NO2等さまざまな大気汚染物質の削減を義務付ける指令である。本稿は、その目標値達成のための国内法化ができなかった場合の、加盟国およびEUの法的対応につき、イギリス国内裁判所判決、指令の解釈および遵守義務に関するEU司法裁判所の先決裁定、さらには当該先決裁定を受けた差戻後のイギリス最高裁判決における「職務執行命令」につき検討したものである。
 日本への示唆としては、①環境公益訴訟について環境NGOの原告適格が所与のものとして認められていること、②国会主権原則に縛られていた裁判所が行政統制機能につき積極的な司法判断を行ったことが挙げられる。
【まるごとわかる環境法3】水質汚濁防止法(前編)
見目 善弘 見目エコ・サポート代表
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環境担当者のための環境法入門。環境部門の新任担当者向けに重要な法律をセレクトしてわかりやすく解説。
第3回は水質汚濁防止法(前編)。
 
1.水質汚濁防止法はなぜ必要なのですか?
2.水を汚染する物質にはどんな種類のものがありますか?
3.汚水等を排出する施設にはどんなものがありますか?
4.あなたの会社には法規制対象の工場・事業場はありますか?
5.事業者は何を守る必要がありますか?
【先読み!環境法41】9月24日開催の第5回放射性物質汚染対処特措法施行状況検討会の取りまとめ(案)
小幡 雅男 神奈川大学大学院法務研究科 講師
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 福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質汚染対策というこれまで行政が取り組んだことのない対策を引き受けた環境省が「試行錯誤しながら進めている苦悩と深刻な状況」を吐露した「第5回放射性物質汚染対処特措法施行状況検討会の取りまとめ(案)」を紹介する。他に改正大気汚染防止法施行令、自然公園法施行規則の改正、ICCM4の結果について報告する。
❶ 9月24日開催の第5回放射性物質汚染対処特措法施行状況検討会の取りまとめ(案)
❷ 水銀排出規制に係る平成27年改正大気汚染防止法施行令案のパブリックコメント実施
❸ 太陽光発電の国立・国定公園特別地域への設置許可基準に係る改正施行規則が今年6月1日から施行
❹ 第4 回国際化学物質管理会議(ICCM4)の結果について
【環境法改正情報】(2015年9月改正分)
見目 善弘 見目エコ・サポート代表
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◉ 水質汚濁防止法
◉ 労働安全衛生法
◉ 農薬取締法
◉ 容器包装リサイクル法
◉ フロン排出抑制法

<トピックス>

エコプロダクツ2015 開催概要
安井 基晃 一般社団法人 産業環境管理協会 企画・広報室 室長
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 12月10日(木)から12日(土)にかけて当協会と日本経済新聞社との共催で東京ビッグサイトにおいてエコプロダク2015を開催する。エコプロダクツ展は、環境調和型製品の普及と市場の拡大を目的に1999 年にスタートし、今回で第17 回目の開催を迎えることとなった。今回のエコプロダクツ2015では、「私が選ぶクールな未来」をテーマに開催する。本稿では、エコプロダクツ2015での当協会の活動計画を中心に展示会の概要を紹介する。

<書評>

これまでにない環境法の「入門書」『環境法』(有斐閣ストゥディア)
小幡 雅男 神奈川大学大学院法務研究科 講師
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北村喜宣著
『環境法』(有斐閣ストゥディア)
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