環境管理バックナンバー 2020年 4月号

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2020年4月号 特集1:改正土壌汚染対策法と企業の対応/ 特集2:令和2年度環境政策

<巻頭レポート>

帝人にきく 未来の社会を支える会社へ――次の100年に向けた帝人の「価値創造モデル」と環境ビジョン
本誌編集部
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 創立102年を迎える帝人㈱は本年2月、「中期経営計画2020-2022」を発表した。様々な社会課題に対するソリューションを提供する「価値創造モデル」は、100年を超える歴史の中で積み上げてきた技術基盤と、変革と挑戦によって受け継がれてきたDNAによって支えられており、そこから生まれた「Quality of Lifeの向上」、「社会と共に成長します」、「社員と共に成長します」という企業理念は、SDGsが謳われる以前からいわれてきた同社の目標である。
 本記事では、化学素材メーカーでありながら、物質や素材だけの化学にとどまらず、「人を中心に化学を考える企業」として未来を見据える同社の環境戦略について、CSR 管掌 早川 泰宏氏に話を聞いた。

<特集1>

早わかり 土壌汚染対策法の基本
本誌編集部
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 土壌汚染対策法でいう土壌汚染とは、有害物質によって一定基準以上に土地が汚染された状態をいう。従って当該土地の現在の所有者等が直接の当事者になる。汚染原因としては、有害物質の不適切な管理や埋設行為、地下浸透など多様である。中には自然由来の汚染もある。法は、動植物などを含む自然環境や生活環境の保全を対象にしていない。その主体は、汚染土壌による人体への暴露経路を想定した健康リスクである。
改正土壌汚染対策法が事業者に対して与える影響
佐藤 泉(弁護士)
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 平成29(2017)年に改正された土壌汚染対策法は、平成31(2019)年4 月1 日に本格施行された。今回の改正では、調査対象を拡大する規制強化が重要である。従来、3,000m2以下の汚染のおそれがある土地の改変について、法定の土壌汚染調査が行われていないケースがあることが改正の大きな理由であった。改正の結果、法第3条1項ただし書により調査が一時的に免除されている土地(以下「一時的免除中の土地」という)及び水質汚濁防止法上の有害物質使用特定施設(以下「特定施設」という)が設置されている工場及び事業場の敷地等についての900m2以上の土地の改変について、調査対象を拡大することとなった。
 土地所有者、土地利用者及び土地売買当事者に対する本改正の影響は大きい。改正法が事業者に与える影響について考察する。
土壌汚染の法律問題――民法改正にふれて
小澤 英明(弁護士)
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 土壌汚染の法律紛争の多くは、いわゆる瑕疵担保責任が問題となるものであった。本年4月1日から改正民法が施行されるが、改正民法では、単に不都合であった条項だけでなく、多くの条文をさまざまに変更したために、従来の民法の上に築かれた判例実務が今後どのような変更を受ける可能性があるのか予測しがたい状況を生んでいる。
 瑕疵担保責任は、「瑕疵担保」の言葉も消され、「契約不適合」責任として装いも新たに登場し、一般の債務不履行責任として整理された。そのことにより生じうるさまざまな問題を、土壌汚染という瑕疵(契約不適合)を題材に本稿で論じることにしたい。
改正土壌汚染対策法 解説
宮川 正孝(環境法令アドバイザー/元東京都環境局)
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 改正土壌汚染対策法が全面施行されて1年が経過しようとしている。改正により、調査が猶予されている土地で形質変更を行う場合の事前の届出義務の拡大、汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令等の創設などが行われた。その一方で、臨海部特例区域の設定、自然由来等土壌の活用などのリスクに応じた規制の合理化なども図られたところである。
 本稿では、主要な規定を中心として改正法を解説する。改正法は政省令含め全体として非常に複雑であり、内容を理解するには多大な努力が必要となるが、本稿が理解の一助になれば幸いである。
土壌および地下水・湧水中の有害重金属類汚染に対する浄化技術
川原 里紗(株式会社 日本海水)
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 土壌や地下水には地域や場所によって自然由来の重金属等が含まれていることがある。これらを掘削したり揚水したりした場合には、汚染が自然由来だとしても人の活動によりそれ以上汚染が拡散しないよう土壌汚染防止法や水質汚濁防止法で定められた基準に沿って適切に処理しなければならない。
 本稿では、土壌や地下水・湧水に含まれる有害重金属類の浄化技術について当社の取り組み実施例を挙げながら紹介する。具体的には汚染土壌の不溶化処理技術について、また汚染地下水・湧水についてはイオン交換樹脂による吸着処理技術について解説する。

<特集2>

当面の経済産業省における環境政策について
経済産業省 産業技術環境局 環境政策課
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 経済産業省においては、地球温暖化対策や、循環型社会の構築(3R(リユース、リデュース、リサイクル)政策)、環境負荷物質低減対策といった課題に引き続き取り組んでおり、本稿では現在の施策や当面の取組について述べる。
当面の環境省の重点政策について
環境省 大臣官房 総合政策課 企画評価・政策プロモーション室
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 現代の社会は、人口減少・高齢化という経済・社会構造上の難題を抱えながら、脱炭素化や「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成を着実に実現していかなければならない難しい状況に置かれている。こうした中で取り組む今後の環境政策では、様々なイノベーションを通じて従来の社会システムの「変革」を図り、それによって環境・経済・社会的課題を同時解決していく、という視点が重
要である。
 環境省はそのような考えの下、気候変動への対応、プラスチックごみ対策、被災地の着実な環境再生、生物多様性の保全等に取り組んでいく。

<総説>

「地球温暖化観測所」設置の提案
杉山 大志(キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹)/近藤 純正(東北大学 名誉教授)
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 地球温暖化の速度は、過去100年で0.7℃程度であった。これまで地上の観測所においてこの測定が行われてきたが、都市化や周辺環境の変化によるノイズが大きく、精確な地球温暖化の計測となっていなかった。そこで、鉄塔の上において温度を計測する「地球温
暖化観測所」の設置を提案する。鉄塔の候補としては、専用の鉄塔建設が最も望ましいが、費用低減のためには、既存の気象観測所の測風塔、電力送電用の鉄塔、携帯電話基地局の鉄塔等の流用も可能であろう。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第42回】原子力イノベーションは進むのか――米国を例に考える大規模技術開発支援
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 わが国の原子力発電事業には厳しい状況が続いている。本年1月17日には四国電力伊方発電所3号機の運転差止めを命じる仮処分決定が出された。3 月16 日には九州電力の川内原子力発電所がテロ対策施設設置の遅れを理由に停止する。わが国の原子力事業を巡る不透明性は全く改善されず、行くことも退くこともできない状態に追い込まれているようにみえる。
 一方、世界は原子力技術とどのように向き合おうとしているのだろうか。本誌2019年4月号に寄稿した「原子力をめぐる“世界の潮流”──各国の動向整理と米国・英国の政策」では、米国や英国の原子力政策を整理したが、高まるエネルギー需要や低炭素化への要請から、東欧やアジアなどで多くの国が原子力発電所の導入や技術開発を進めている。
 広がりをみせる原子力利用と技術開発について整理した上で、米国を例に原子力イノベーションのあり方を考えたい。
【産廃コンサルタントの法令判断/第49回】委託契約の内容変更――覚書を作成する必要は?
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第49回)。

【新・環境法シリーズ/第98回】炭素回収貯留(CCS)における責任
大塚 直(早稲田大学 法学部 教授)
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 第5次環境基本計画、地球温暖化対策計画、長期戦略のGHG削減目標を達成するためには、CCSに対する検討は必須である。もっとも、CCSの責任について考察するときには、第一に、汚染物の長期的な管理という点で、高レベル放射性廃棄物の処分を扱う、特定放
射性廃棄物の最終処分に関する法制が参考になること、第二に、CCSに関する諸外国の立法では、圧入完了後、一定要件を満たした場合に管理責任を国に移転する制度が存在することに留意すべきである。本稿では、途中で責任主体を変える先例がないことから、法制的に責任移転についてはハードルが高く、包括的なCCS法を構想する際に、規制型だけでなく、事業型の導入も一考に値することを主張する。
【いつできた?この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第19回】最終処分場の巻
田村 輝彦/長岡 文明(廃棄物処理法愛好会)
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 みなさんこんにちは。このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、
難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを説明していくものです。
 今回は「最終処分場」を取り上げます。今日の担当はT先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第28回】土壌地下水汚染の本質と最近の裁判事例──土地取引での土壌汚染の問題
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 土壌汚染の基本知識を改めて復習し、後半では最近公開された汚染土地に関する裁判例を分かりやすく解説する。主たる争点が、①マンション建設で発覚した土壌汚染は敷地表面の舗装だけで解決できるか、②「汚染の可能性が低い」等と記載したリスク評価報告
書と売主を吸収合併した会社の責任、さらに、③自然由来のヒ素は瑕疵担保の対象外であり掘削除去せずに「原位置封じ込め」で問題はない、といった地裁の判例をレポートする。
 なお、民法改正に伴い、2020年4月1日以降は、瑕疵担保責任が「契約内容不適合」といった概念になる。
【先読み! 環境法/第94回】強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案が2月25日に衆議院に提出
小幡 雅男(前・神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 近年の電気供給を巡る環境変化を踏まえ、災害時の迅速な復旧や送配電網への円滑な投資、再エネの導入拡大等のための措置を通じて持続可能な電気の供給体制を確保するため、2月に衆議院に提出された法案について解説する。その他、人口減少時代のまちづくり「コンパクトシティネットワーク」推進に関連する法案、巨大IT 企業に取引の透明性を求める法案について紹介する。
 ❶強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案が2月25日に衆議院に提出
 ❷都市再生特措法、土地基本法等、地域交通活性化法の改正案が2月7日衆議院に提出
 ❸特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案が2月18日に閣議決定され衆議院に提出―― GAFAへの対応
環境法改正情報(2020年2月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉浄化槽法
 ◉労働安全衛生法
 ◉化審法
 ◉高圧ガス保安法
 ◉廃棄物処理法
 ◉容器包装リサイクル法( 2019 年12 月改正情報・追加)
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