環境管理バックナンバー 2020年 9月号

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2020年9月号 特集1:新型コロナウイルスと環境問題/特集2:生物多様性問題の現状と課題

<特集1>

コロナウィルスと地球温暖化
有馬 純(東京大学公共政策大学院 教授)
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 新型コロナウィルスは世界経済、エネルギー需給に甚大な影響をもたらしており、CO2排出量は足元では低下しているが、経済が回復すればリバウンドする可能性が高い。経済回復と温室効果ガス削減を同時達成しようというグリーンリカバリーの議論があるが、途上国であればあるほどコロナで疲弊した経済、雇用の回復とそれを可能にする石炭など、安価なエネルギー源に頼る可能性が高い。我が国はコロナからの回復にあたり、既に他国よりも高い電力料金のさらなる上昇を招くことは避け、次世代エネルギー技術のR&D 等に注力すべきだ。
新型コロナウイルスと気候変動と大気汚染
竹村 俊彦(九州大学 応用力学研究所 主幹教授)
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 新型コロナウイルス蔓延に伴う社会経済活動の制限により、温室効果ガスや大気汚染物質の排出量が一時的に減少した。しかし、温室効果ガスだけでなく、短寿命気候強制因子の動態も考慮すると、この行動制限は気候変動や大気汚染の本質的な解決には貢献していないと考えられる。た
だし、行動変容がなされれば、大気環境が改善することを世界的に体験できたことには意味があり、気候変動や大気汚染の緩和へ向けた継続的な取り組みを促進する契機になり得る。
新型コロナウイルスが廃棄物処理事業に与える影響と対策
村岡 良介(一般財団法人 日本環境衛生センター 研修事業部長)
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 新型コロナウイルスの国内の感染拡大から既に5か月が過ぎようとしているが、事態は改善の兆しがみられない。感染予防のために生活行動や事業活動に自粛や縮小が求められ、廃棄物の処理や3Rの推進にも大きな影響を及ぼしている。エッセンシャルサービスと呼ばれる廃棄物処理事業
は、ウイルスに接触するリスクに不安を覚えながら、家庭や事業所から日々排出される廃棄物を、集めて運んで適正に処分する重要な活動を継続している。
 本稿では、新型コロナウイルスが廃棄物処理事業に与えている影響を検証しながら、事業継続の一助とすべく策定した「廃棄物処理業における新型コロナウイルス対策ガイドライン」を紹介し、今後の廃棄物処理事業の在り方を展望する。
横浜市にきく 感染と隣り合わせで働く「ごみ収集」の今
一般社団法人 産業環境管理協会 資源リサイクル促進センター
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 新型コロナウイルス感染拡大の陰で、感染リスクと隣り合わせで休みなく続けられているごみ収集。外出自粛で家庭ごみが急増する中、ごみ収集員が感染し事業所閉鎖に追い込まれた例もある。
 新型コロナウイルスの影響はごみ収集の現場にどのような影響を与えているのか。さらに、感染リスクにさらされながら、どのようにこの難局を乗り越えようとしているのか。そのヒントを横浜市資源循環局に聞いた。

<特集2>

生物多様性の保全における民間事業者の参画について
環境省 自然環境局 自然環境計画課 生物多様性主流化室
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 私たちの暮らしや経済は、生物多様性により生み出される恵みによって支えられている。将来にわたりその恵みを享受していくためには、社会を構成するあらゆる主体が連携し、生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組んでいく必要があり、民間事業者はその要でもある。2021 年以降、愛知目標に代わる新たな世界目標において、民間事業者の取組は益々重要になる。
 環境省ではこの民間事業者の動きを後押しするための活動を行っているが、その一環として本年、「生物多様性民間参画事例集」、「企業情報開示のグッドプラクティス集」を公表した。本稿では、これらの事例集の概要を述べる。
不確実な時代における科学と政治・政策の対話――生物多様性・生態系サービスから考える
香坂 玲(名古屋大学大学院 環境学研究科 教授)
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 2010年以降、目標であれば愛知目標やSDGsが設定され、科学と政策の対話という観点からは新組織の設立などがあった。一方で、生物多様性の損失は続き、悪化の加速が指摘される領域もあり、愛知目標の達成も危ぶまれる。新型コロナウィルスの感染拡大という危機に面している不確実性が身近に感じられる現在にあって、科学と政治・政策の対話と生物多様性の保全と持続可能な利用の方策への示唆を考える。
環境変化で変異するバッタの大群――物を食い尽くすサバクトビバッタと食糧危機
本誌編集部
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 新型コロナウイルスの蔓延と時期を合わせて、30 か国以上で農作物を襲っているバッタの大量発生がある。各地で被害が出ている状況と興味深いバッタの生態をレポートする。

<短期集中連載>

【CLOMAアクションプラン キーアクション3(WG3)】ケミカルリサイクル技術の開発・社会実装を目指して
三浦 仁美(CLOMA WG3 座長/積水化学工業株式会社ESG経営推進部)/野部 哲也(CLOMA WG3 副座長/三井物産株式会社ベーシックマテリアルズ本部直轄サーキュラーエコノミー推進チーム)
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 海洋プラスチック問題の解決のために取り組む必要がある課題は多い。その中でも「プラスチック循環の流れをつくること」は短期的には難しいかもしれないが、中長期を見据えて今から取り組んでいかなくてはならない喫緊の課題である。プラスチック循環システムを構築し、サーキュラーエコノミーへの転換を実現することこそ、不法投棄や、処理しきれない量の廃棄物をなくしていく根本的な解決方法だといえる。そしてプラスチック循環システムの確立は、マテリアルリサイクルをはじめとするさまざまな循環を後押しする方法があるものの、ケミカルリサイクル技術の開発や社会実装なくしては実現できないだろう。
 CLOMA WG3では、その「ケミカルリサイクル技術の開発と社会実装」のために企業連携を図り、共通課題を認識し、解決に向けて取り組むことを旨としてアクションプランを検討した。

<シリーズ>

【産廃コンサルタントの法令判断/第54回】廃棄物処理法改正──災害廃棄物の対応はどう変わる?
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第54回)。

【新・環境法シリーズ/第103回】モンゴルにおける環境公益訴訟の法制度と今後の課題
スフバータル・スフチョローン(名古屋大学 大学院 法学研究科 博士後期課程3年)
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 現在のモンゴルにおいて、環境公益訴訟制度は、民事訴訟方式と行政訴訟方式の両方の方式で設けられている。モンゴルの環境公益訴訟制度は、司法を通じて環境公益を保護することを狙いとするものであるが、いくつかの問題を抱えており、その機能を十分に発揮できないケースが少なくない。本稿は、モンゴルにおける環境公益訴訟を、①環境公益民事訴訟と②環境公益行政訴訟の二つに分けて、それぞれの法制度と課題について検討するものである。ただし、本稿ではモンゴルの環境公益訴訟に関する個別の裁判例の分析には深く立ち入らないこととする。また、モンゴルの環境公益訴訟においては、①市民、②環境NGO、③当該地域の地方知事(郡・区の長)、④検察機関が出訴する資格を有するが、紙幅の関係上、主に市民と環境NGOが原告となる法制度を中心に取り上げる。
【いつできた?この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第24回】許可不要者制度と各種リサイクル法(その5)の巻
長岡 文明(廃棄物処理法愛好会)
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 みなさんこんにちは。このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを説明していくものです。
 聞き手は、某企業の廃棄物管理部門に配属されて3年目、廃棄物処理法を鋭意勉強中のBUNさんです。
 第24回目は、「許可不要者制度と各種リサイクル法」その5です。お相手はN先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第33回】生物多様性の基礎知識――基本的な考え方と具体例
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 生物多様性について基本的な考え方について解説する。生物多様性分野のビジネスでは、異業種や異分野間での連携や技術協力などにより従来の枠を超えた新たなパートナーシップによるイノベーションを見出す契機があるかもしれない。オオカミが絶滅したことで54億円規模の経済損が間接的に生じているなど、産業との関係を考える上で参考になる具体的な事例や情報も提供する。
【先読み! 環境法/第99回】廃プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準(案)――7月8日の「令和2年度廃プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準策定のための検討会(第2回)」で該非判断基準(案)が提示
小幡 雅男(前・神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 「汚れたプラスチックごみ」に係るバーゼル条約の改正が決議され、2021年1月1日に発効する予定である。そこで、廃プラスチックの輸出を行う際に、関係者が規制対象に該当するか否かを適切に判断するための判断基準(案)が提示された。その経緯と内容を解説する。
 
 ❶廃プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準(案)――7月8日の「令和2年度廃プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準策定のための検討会(第2回)」で該非判断基準(案)が提示
 ❷7月21日の第4回合同会議(7月21日)で「今後のプラスチック資源循環政策の方向性(案)」が提示――2019年5月策定の「プラスチック資源戦略」の具体化に向けて
環境法改正情報(2020年7月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉労働安全衛生法
◉廃棄物処理法
◉農薬取締法
◉化審法
◉フロン排出抑制法
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