環境管理バックナンバー 2021年 9月号

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2021年9月号 特集1:サステナビリティー経営に邁進する廃棄物処理ビジネス/特集2:熱海土石流を契機に残土や崩落リスクを考える

<巻頭レポート>

突然現れたごみの壁 ―千葉県はゴミの排出者に撤去指導
本誌編集部
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突然現れたごみの壁(千葉県)をレポートした。

<特集1>

環境創造企業として進化する ― 新たなステージへの変革
壺内 良太( 大栄環境株式会社 社長室)
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少子高齢化による「人口減少社会の到来」やデジタルトランスフォーメーション「DX」導入の停滞で生じる経済損失「2025 年の壁」が従来からいわれていた。これらに加えて、「新型コロナウイルス」や「カーボンニュートラル」などの新たな外部環境の変化は多くの企業にとって極めて重要な経営課題となっている。
廃棄物処理事業を主軸とする大栄環境にとっても外部環境の変化は、新たなビジネスモデル創出の千載一遇のチャンスである一方、対応を誤れば脅威にもなる。
そこで本稿では、社会や経済の変化に対応すべく当社が置かれた状況と取り組み事例を紹介しつつ、環境創造リーディングカンパニーとしての展望を述べる。

中小企業が地球規模の課題に対して向き合う奮闘記と未来への道しるべ
加山 順一郎(加山興業株式会社 代表取締役)
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持続可能な開発目標「SDGs」が掲げられて早6 年が経つ。この国際目標は2030 年を期限としており、現在は折り返し地点の直前である。かかる状況の中で企業規模を問わず、組織が地球規模の課題について深く向き合っていき、解決に向けた取り組みとしてSDGsを経営に実装していくことが社会全体から期待されている。
本稿では、企業がSDGsに取り組む意義である「ビジネスチャンスを見いだす」、「企業価値を高める」、「生存戦略」の三つの観点を通じて、持続可能な社会構築を推進していくために企業として何が必要かについて論じる。後半では、当社プロジェクトのうち、「ラオスでの奮闘記」および「環境教育での奮闘記」、そして生存戦略の取り組み実例として「脱炭素に向けた奮闘記」について具体的に述べる。

<特集2>

各事例にみる残土規制をめぐる問題と法規制の方向性 ─ 残土処分場のリスクと法的対応の今後の展望
池田 直樹(弁護士・関西学院大学 教授)/杉田 峻介(弁護士)
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熱海の土石流事案を契機に、全国で土砂崩落リスクへの関心が高まっている。本稿では、弁護士として実際に担当した奈良県や大阪府での残土関連事件について解説する。また熱海の土石流事案についても執筆段階の情報をベースに触れ、各事案に共通する「規制の空白」の問題や、違法な盛土行為への行政の消極的な対応が重大な事故を招き得ることを述べる。その上で、残土の堆積に関する統一的な規制法、排出者責任の強化や情報開示など、今後の法規制の方向性についても言及する。

建設残土の崩落から人命を守る法制度について─ 熱海土石流事件の教訓
村田 正人(三重弁護士会所属)
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熱海土石流事件は131 棟の家屋が被害に遭い、死者22 名、行方不明者5 名の痛ましい被害となった。違法な盛り土をしたA社の責任とともに違法な盛り土を除去することができなかった熱海市と静岡県の行政対応の適否が問題になると思われる。熱海土石流事件で得られた知見は、記録された最大降水量を上回る強い雨があれば、それが引き金になって傾斜地の盛り土が崩壊する危険箇所が全国に多数あり、早急な対策が必要であるという厳しい事実である。尊い人命を守るために建設残土の不法盛土をどう規制すべきか、産業廃棄物の不法投棄に関する弁護士活動の経験をもとに提言する。

技術紹介 斜面・盛土内の水分挙動および変形挙動を把握・監視する技術
応用地質株式会社
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近年、記録的な大雨や局所的な集中豪雨による斜面表層崩壊や盛土崩壊が発生し、土石流災害による甚大な被害が各地で発生している。今年の7 月3 日には、静岡県熱海市の伊豆山地区において、逢初川上流で大規模な崩壊が発生し、下流の民家周辺まで土石流災害が拡大した。この土石流発生の要因として盛土の崩壊が引き金になっているとの指摘もあり、今後、このような災害を減らしていくためには、危険な斜面や盛土を抽出し、砂防堰堤や盛土堰堤の設置、および排水対策などの適切な対策を講じる必要がある。
 一方、大規模なハード対策は相当の時間を要することから、まずは抽出された危険な斜面や盛土の調査(水分挙動の把握など)を行い、必要な対策を検討すること、また、変形挙動を監視するモニタリング機器を多点配置し、斜面の動態を常時監視することで崩壊に至る前兆現象をとらえ、有効性の高いハード・ソフト対策を講じる必要がある。本稿では、斜面や盛土内の水分挙動および変形挙動を把握・監視する技術について概要を紹介する。これらの技術は豪雨による斜面表層崩壊や盛土崩壊による土砂災害の予防に役立つと考える。

<総説>

環境から始めるSDGs 埼玉県環境部の企業等の取組支援
埼玉県環境部環境政策課
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パリ協定やSDGsの採択、ESG投資の拡大など、あらゆる企業に環境配慮の取組がより一層求められている。SDGsの17 ゴールの多くが環境分野に深く関連していることから、企業等がSDGsに取り組む第一歩を環境から踏み出せるよう、取組を促進する事業を令和2
年度に開始した。
 環境分野のSDGsに取り組む企業を「環境SDGs取組宣言企業」として情報発信する取組や、環境関連団体と連携した会員企業への取組の浸透を進めている。令和2 年度は環境関連団体3 団体と連携し、取組の手引き・事例集を作成した。

「エコメッセ2021inちば」第26 回の概要とこれまでのあゆみ
桑波田 和子(エコメッセちば実行委員会委員長)
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「エコメッセ2021inちば」は、市民・学校・企業・行政とのパートナーシップで実行委員会を組織・運営し、今年で26 回目の開催となる。1996 年から開催し、時事に合うテーマを設定し、広く県民への旗振り役を担ってきた。子どもから大人まで、楽しく学びながら体験する「環境活動見本市」で、毎回約1 万人の来場者がある。2018 年度からは、今話題のSDGsの普及・啓発をテーマにして開催している。
 2021 年度は、「Prosperity:笑顔あふれる未来を創ろう」をテーマに開催を準備している。新型コロナウイルス感染症に対応して、出展形態は会場出展とオンライン出展の二つの形態を用意している。

<レポート>

最近の気になるニュース・クリッピング
本誌編集部
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⦿九州で1mを超える異常な雨量
⦿早めに対策
⦿栃木の山火事はタバコが原因
⦿熱海土石流
⦿熱波で史上最高の気温
⦿IPCC 報告書
⦿ジョニー・デップが「水俣」に出演
⦿環境産業、廃棄物リサイクル市場規模
⦿廃プラスチックの輸出
⦿オリンピック・パラリンピックのメダル
⦿EUが気候変動対策計画を発表
⦿大阪市発注工事における電子マニフェストの義務化
⦿作業服を洗った水を流して水濁法違反の疑いで書類送検
⦿不法投棄が急増 岐阜県警
⦿米軍の廃棄物に抗議の女性が書類送検
⦿PCB 保管事業者に改善命令や書類送検
⦿PCB 特別措置法違反の疑いで書類送検

<シリーズ>

【弁護士からみた環境問題の深層/第9 回】 食品ロスの削減と食品リサイクルのための法的課題と留意点 ─ 食品ロスの削減の推進に関する基本方針、食品リサイクル法基本方針の実現へ向けて
村谷 晃司(弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員)
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小売店や外食産業などにおける食品ロスの削減が提唱されているが、食品リサイクル法基本方針では、食品ロスを含めた食品廃棄物の発生の抑制と、食品循環資源の再利用等を推進して食品廃棄物等の減量を推進することにより環境への負荷の少ない循環型社会を構築していくことを基本理念として定めている。
 本稿では、食品ロスの発生抑制のための具体的施策や、食品リサイクルを推進していく上での法的課題や留意点について検討する。各論では、納品販売期間の緩和策、ドギーバッグ、フードバンク、不正転売問題、家畜用飼料への転用、熱回収など具体的テーマについて論じる。

【産廃コンサルタントの法令判断/第66 回】 建廃契約書は工事案件ごとに必要?─ 排出事業場について実際の法律を確認
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第66回)。

【新・環境法シリーズ/第115 回】建設アスベスト訴訟最高裁判決の概要
北河 隆之(弁護士・琉球大学 名誉教授)
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最高裁判所第一小法廷は、令和3 年5月17日、建設アスベスト訴訟に関する4 件の判決を言い渡した。横浜訴訟、大阪訴訟、東京訴訟、京都訴訟の各上告審判決である。これにより、①国と建材メーカーの損害賠償責任が肯定され、②国の責任期間は昭和50年10月1日~平成16 年9月30日までとされ(石綿吹付作業との関係では昭和47年10月1日から昭和50年9月30日まで)、③一人親方(個人事業主)に対する責任も肯定された一方で、④屋外作業者に対しては国及び建材メーカー双方について責任が否定された。これら4判決の重要ポイントを本稿で整理する。

【環境担当者のための基礎知識/第45 回】 廃棄物除去等の措置命令と委託契約書の基礎知識── そもそも契約って何だろう?
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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廃棄物処理法は複雑で頻繁に改正されている。法令の運用も年々厳格になっている。排出事業者が委託基準に違反すると委託業者が起こした不適正処分に関して除去等の措置命令を受けることもある。
 本稿では措置命令と委託契約についての基礎知識を解説する。例えば、排出事業者を甲、処理業者が乙とする委託契約で以下のような条項は有効かどうか検討する。
 ①処理委託によって生じる甲に課せられた罰金は処理業者の乙がすべて払う
 ②マニフェストは乙が準備しすべて乙が記入し排出事業者の甲を介在させないこと

【先読み! 環境法/第111 回】 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(第48 回会合)
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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 8月4日、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に提示された「エネルギー基本計画(素案②)」(一部省略)と同日、中央環境審議会・産業構造審議会合同会合で策定された「地球温暖化対策計画(案)」のうち削減状況と2030 年目標を紹介する。なお、第48回基本政策分科会に、「発電コスト検証の結果について」が提出されているが、次回以降で紹介したい。
 また、7月16日に日本銀行が決定した「気候変動対応を支援するための資金供給の骨子素案」について解説する。
❶ 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(第48回会合)(8月4日)―エネルギー基本計画(素案②)の概要
❷ 第9回中央環境審議会 地球環境部会 中長期の気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会 産業技術環境分科会 地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキンググループ 合同会合(8月4日)― 地球温暖化対策計画(案)
❸ 日銀が「気候変動対応を支援するための資金供給の骨子素案」(7月16日)を決定

環境法改正情報(2021年7月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉ 消防法
◉(その他)再生可能エネルギー及び水素エネルギー等の温室効果ガス削減効果に関するLCAガイドラインの改訂について
◉(その他)令和元年度の電気事業者毎の基礎排出係数・調整後排出係数等の公表について

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